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令和 4年 2月定例会議(第25号~第34号)-02月21日-03号

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  1. 滋賀県議会 2022-02-21
    令和 4年 2月定例会議(第25号~第34号)-02月21日-03号


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    令和 4年 2月定例会議(第25号~第34号)-02月21日-03号令和 4年 2月定例会議(第25号~第34号)                 令和4年2月定例会議会議録(第27号)                                        令和4年2月21日(月曜日)           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第3号                                         令和4年2月21日(月)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第1号から議第51号まで(令和4年度滋賀県一般会計予算ほか50件)の各議案に対する総括質疑  第2 一般質問           ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件  第2 日程第2の件           ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   村  上  元  庸
       7番   清  水  ひ と み       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江    11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代           ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)           ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               副知事             江  島  宏  治               副知事             中  條  絵  里               知事公室長           東        勝               総合企画部長          川  崎  辰  己               総務部長            森  中  高  史               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        市  川  忠  稔               商工観光労働部長        水  上  敏  彦               農政水産部長          西  川  忠  雄               病院事業庁長          宮  川  正  和           ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            西  出  佳  弘               議事課長            山  本  昌  男               議事課課長補佐         内  田  吉  行   午前10時 開議 ○議長(富田博明) これより本日の会議を開きます。  直ちに日程に入ります。    ──────────────── △議第1号から議第51号まで(令和4年度滋賀県一般会計予算ほか50件)の各議案に対する総括質疑 ○議長(富田博明) 日程第1、議第1号から議第51号までの各議案に対する総括質疑を行います。  発言通告書が提出されておりますので、これを許します。  なお、会議規則第53条において、「発言はすべて簡明にするものとし、議題外にわたり、またはその範囲を越えてはならない」、「質疑に当たっては、みだりに自己の意見を述べることができない」とされておりますので、遵守されるよう、お願いいたします。  32番細江正人議員の発言を許します。 ◆32番(細江正人議員) (登壇、拍手)自由民主党滋賀県議会議員団を代表いたしまして、質疑をさせていただきます。  まず、議第19号滋賀県CO2ネットゼロ社会づくりの推進に関する条例、議第17号滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進基本条例案について、関係あることから続けてお尋ねいたします。  平成9年──1997年に京都で開催された地球温暖化防止京都会議、いわゆるCOP3には世界各国から多くの関係者が参加し、6種類の温室効果ガスについて、先進国の排出削減について法的拘束力のある数値目標などを定めた文書が京都の名を冠した京都議定書として採択され、平成17年──2005年2月16日に発効しました。  我が滋賀県では、いずれ枯渇する化石燃料に依存しない低炭素社会づくりを進めなければならないと、2030年における温室効果ガスの排出量を平成2年──1990年と比較して50%削減することを低炭素社会実現のための目標として上げ、平成23年──2011年3月、滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例を制定いたしました。また、平成31年──2019年3月制定の滋賀県基本構想の環境面でも積極的に取り組んできた経緯があります。  このような経緯の下、議第19号の条例はこの滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例を全面改正しようとされるものです。  そこで、以下、全て知事にお尋ねいたします。  改正前の条例をどのように総括し、評価するのか、今日までの成果についてお伺いいたします。  令和2年──2020年1月6日、知事は次のように述べて、“しがCO2ネットゼロ”ムーブメントキックオフ宣言をされました。「近年、気温の上昇、大雨の頻度の増加など気候変動およびその影響が全国各地で現れており、多くの犠牲者をもたらすとともに住民の生活、社会経済および自然生態系に多大な被害を与えています。今後、地球温暖化の進行に伴い、猛暑や豪雨のリスクはさらに高まることが予測されることから、温室効果ガスの大幅削減を進めるとともに、起こり得る気候変動の影響に適切に対処していくことが重要です。2018年10月に発表されたIPCC1.5℃特別報告書では、パリ協定の目標である産業革命以降の世界の平均気温の上昇を2℃よりリスクの低い1.5℃未満に抑える必要性が指摘されました。このためには人為的な二酸化炭素排出量を2050年前後に実質ゼロにする必要があります。本県においても、琵琶湖をはじめとする豊かな自然環境を守り、豪雨災害等に強い持続可能な社会を次世代に引き継ぐため、二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指して、県民、事業者、行政が一丸となって取組を開始しましょう。ぜひ、二酸化炭素排出量実質ゼロの取組へ御賛同をお願いします」とおっしゃいました。  条例改正の検討と並行して、令和2年1月6日に知事が行ったこの“しがCO2ネットゼロ”ムーブメントキックオフ宣言から2年余が経過しましたが、これまでのムーブメントの成果についてお尋ねいたします。  このキックオフ宣言を受けて、今回、条例を全部改正しようとされておりますが、その趣旨についてお尋ねいたします。  欧州では、CO2の排出がないことから原子力発電を地球温暖化の抑制につながるグリーンエネルギーの投資先としての認定をしようとする動きもありますが、CO2ネットゼロ社会づくりにおける原子力発電の活用についてどのようにお考えか、お伺いいたします。  地球温暖化問題は自分とは関わりなく、自然減少の成り行きと傍観する人も少なくはないのかもしれません。その上で、滋賀県CO2ネットゼロ社会づくりの推進に関する条例の主な内容とその狙いについてお伺いします。  重ねて、今回改正する条例の下でCO2ネットゼロ社会づくりを推進していくに当たっての知事の決意を改めてお伺いします。  議第19号に関係することから、議第17号滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進基金条例案についてお尋ねします。  基金を造成しようとする理由についてお伺いします。そして、今後、基金を活用してCO2ネットゼロ社会づくりをどのように進めていこうとしているのかお尋ねします。県民が自分のこととして実践できるように訴えかけてくださいませ。 ○議長(富田博明) 32番細江正人議員の質疑に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)CO2ネットゼロ社会づくりに関する8点の御質問にお答えいたします。  1点目、改正前の条例の成果についてでございますが、現行の低炭素社会づくりの推進に関する条例におきましては、事業活動、日常生活、建築物、自動車など各分野における温暖化対策の取組を定めております。この条例に基づきまして、平成28年度に現行の低炭素社会づくり推進計画を策定し、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で23%削減するという目標に向けて取組を進めてきたところです。直近の2019年度の実績では22%まで削減が進み、進捗率といたしましては96.6%に達しているところでございます。特に、条例におきましては事業活動に伴う排出量が多い事業所等に主体的な省エネ等の取組を促す事業者行動計画制度を定めておりますが、対象となる約300事業所のほぼ全てから提出をいただいており、産業・業務部門では各種設備の高効率化が進み、全体を上回る25%の削減となっております。  このように、現行の条例の下で進めてきた低炭素社会づくりには一定の成果があったものと認識しております。一方で、県民、事業者等の主体的な取組への誘導ですとか家庭・運輸部門のさらなる排出削減などが今後の課題と認識しております。  2点目の、「しがCO2ネットゼロムーブメント」の成果についてでございますが、令和2年1月に行いましたキックオフ宣言以降、県民一人一人が気候変動による危機を自分事として捉え、主体的に節電や省エネなど身近な取組を進め、それが県全体に広がり、県民運動となってムーブメントの創出につながるよう、普及啓発や機運醸成に努めてきたところです。  特にこれからの社会の中核を担うネットゼロ世代とも言うべき若者の意識と行動が重要でありますことから、成安造形大学と連携してムーブメントのロゴマークを学生に作成していただくとともに、大学生や高校生が参画する次世代ワークショップでは、今後、自分たちがどう取り組んでいくのか意見交換し、それぞれの成果を昨年12月に開催いたしましたシンポジウムで学生自ら発表いただくなど、積極的に取組を進めているところです。  その結果、令和4年1月末現在で約7万4,000人の県民の皆さんから御賛同いただき、それぞれ取組を進めていただいているところです。ムーブメントの展開はまだ緒に就いたばかりではございますが、CO2ネットゼロ社会を実現するため、県民総ぐるみの運動となるよう、本格的に展開を図ってまいりたいと存じます。  3点目、条例改正の趣旨についてでございますが、2015年、COP21において採択されたパリ協定の下、世界各国が温室効果ガス排出削減に取り組んでおりますが、地球温暖化は急速に進行し、世界を挙げた取組の強化と一層の加速化が求められております。また、世界共通の課題である気候変動に立ち向かうだけでなく、これを契機といたしまして、社会経済構造の変革や経済成長へと結びつけ、持続可能な社会を構築していくことが求められると考えております。  こうした状況を踏まえ、本県において、2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、その実現に向けた取組を通じて地域の持続可能な発展をも実現するCO2ネットゼロ社会づくりを進めていくため、現行の低炭素社会づくり推進条例を全面的かつ発展的に見直し、内容の拡充を図るものでございます。  4点目の、原子力発電の活用についてでございますが、現在策定中のCO2ネットゼロ社会づくり推進計画では、2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比で50%削減するという中期目標を掲げておりますが、基幹電源を確保し、安定的な電力供給体制を整えることは国の責務でありますことから、この目標の算定に当たりましては、国のエネルギー基本計画が掲げる原子力発電を含んだ電源構成を用いているところでございます。  一方で、原発については、現状では原発の安全性に対する国民の不安感がいまだ払拭されておらず、使用済み核燃料の処理など、いわゆる原発の静脈についても未整備のままであること、また、全国的にも既設原発の老朽化や廃炉が進行しており、新設ですとかリプレースの議論もなされていない状況であること、また、事故が発生した場合の被害、影響が甚大であること等の課題があると認識しており、引き続き、国内外の動向には注視しつつ、活用できる環境がまだまだ整っていないことはしっかりと申し上げていく必要があると考えております。  5点目の、新たな条例の主な内容についてでございますが、新しい条例では、2050年までにCO2ネットゼロを実現する目標を明示するとともに、主な内容として次の3点を盛り込んでおります。  1つは、事業活動、日常生活、自動車の利用など社会の様々な場面における温室効果ガス排出削減のための取組については、新たに製品やサービスの温室効果ガス排出量の見える化やカーボンクレジットの利活用など、CO2ネットゼロムーブメントの展開を通して県民一人一人の主体的な行動を促すための拡充などを行っているところです。  2つ目といたしましては、化石燃料からの転換を進めるため、再生可能エネルギーの導入に関する章を新設いたしまして、再生可能エネルギーの積極的な利用やその地産地消、自然環境との調和などの内容を盛り込んでいるところです。  3点目といたしまして、気候変動適応に関する章を新設いたしまして、今後見込まれる気温上昇や気象変化などのリスクを把握し、その対応策を講ずるための内容を新たに盛り込んでいるところです。  6点目、CO2ネットゼロ社会づくりを推進していくことに当たっての決意についてです。CO2ネットゼロ社会の実現は産業構造や社会経済の変革を伴うものであり、決して容易ではございませんが、地球温暖化による気候変動への対応は私たち一人一人にとって避けることができない喫緊の課題であると認識しております。これまでの発想を転換するとともに、県民や事業者、各種団体、市町など様々な主体と連携しながら総ぐるみで取組を進めていくことが重要であり、県といたしましても、より実効性の高い施策を積極的に講じていく所存でございます。  幸いにも私たちには、琵琶湖の環境保全などで培ってまいりました高い環境意識と行動力、本県に集積する製造業の技術力や大学等の知的資源、三方よしの精神など、有形無形の様々な資源があります。今を生きる人類の責任を自覚しつつ、こうした本県としての強みを生かしながら、CO2ネットゼロ社会づくりに果敢に挑戦し、より豊かな滋賀を次の世代に引き継いでいくため、私自身も先頭に立って、皆さんと一緒に取組を加速化してまいる決意でございます。  7点目、基金を造成させていただく理由についてでございますが、現在策定中の滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画におきましては、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で50%削減することや、再エネ導入量を2019年度比で約2.1倍に増やすなどの中期目標を掲げているところです。これらの中期目標を達成するためには、中長期的な視点に立ち、全庁を挙げて計画的に、かつ継続して施策を実施していく必要がありますため、計画の中間見直しを行う令和7年度までに必要と見込まれる新規拡充事業に係る追加的経費の財源を基金として積み立てさせていただこうとしているものでございます。  8点目、その基金の活用についてでございますが、大きく3つの柱に沿って推進していきたいと考えております。  まず1点目は、先ほども申し上げました、計画に掲げます温室効果ガス排出量の削減目標の達成に向けた取組でございます。具体的には、家庭や事業者が行う省エネルギー化に対する支援や行動変容に向けた取組、モデル地域の育成など、さらなる排出削減に向けた取組を加速化してまいりたいと考えております。  2点目に、CO2ネットゼロ社会の実現に向け、将来を見据えた取組でございます。具体的には、新たな産業の創出や再生可能エネルギーの地産地消の仕組みづくりなど、種をまく取組を推進していきたいと考えております。  3点目は県庁率先行動の取組でございます。県が自ら行う県有施設の省エネルギー化、公用車への次世代自動車の導入、太陽光発電設備の設置といった、県の事務事業に伴います排出量の削減に向けて率先した取組を着実に進めていきたいと考えております。  基金を活用させていただいて、これらの取組を積極的に講じていくことにより、2030年の中期目標、その先の2050年のCO2ネットゼロ社会の実現を見据え、計画的かつ着実に歩みを進めてまいりたいと考えております。 ◆32番(細江正人議員) (登壇)今朝の報道によりますと、ESG債について、県が50億円調達しようというふうにされています。このことは今お答えいただいた県の基金に充当されるのか、それと関係しているのか、どの程度、関係しているのか、これは通告してなかったんですが、たまたまこの報道に接しましたので、そのことについてちょっと説明いただけるとうれしいかなと思いますが。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  今お取り上げいただいたESG債、サスティナビリティ・リンク・ボンドのことだと思いますが、それは資金手当てとして、今年度、発行させていただくものでございますので、今、議題として提案させていただいております基金とは関係のない形で使わせていただく、そういう予定でございます。 ◆32番(細江正人議員) (登壇)ありがとうございます。  次へ行きます。  次に、議第24号滋賀県職員等の給与等に関する条例等の一部を改正する条例案、議第41号滋賀県公立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案について、関連しますので2議案に対してまとめてお伺いします。  まず、この2議案は昨年10月11日に行われた人事委員会の勧告を踏まえた改正条例案との説明でありました。  そこで、初めに、人事委員会勧告の重さについて知事の認識をお伺いします。  また、この2議案については2月14日付で人事委員会委員長から県議会議長に対して意見が申し出されています。そこで、この2点目は、人事委員会勧告の趣旨を踏まえれば、通年議会であることからも昨年12月までに議案を提出すべきではなかったか、なぜ昨年12月の期末手当支給日までに提案されなかったのでしょうか、知事にお伺いします。  だからなのでしょうか、人事委員会委員長の県議会議長への意見には、令和3年度の期末手当についての調整に関してはやむを得ないものという意見となっています。やむを得ないとは「そうするよりほかに仕方がない」「仕方がない」というときに使いますが、この人事委員会委員長の意見は、提案が今議会になったから今となっては仕方がない、そうした意見が出されたとしか理解できません。  この議案については、我が会派では昨年11月定例会議でも懸念していました。それは本年3月末の退職者に対する取扱いです。例えば今議会の初日に即決して3月中での調整はできなかったのでしょうか、お伺いします。  次に、この条例案によって調整される総額、すなわち、本来、令和3年12月の期末手当で減額されるべきであった総額は幾らでしょうか、お伺いします。  結局は調整して返還されるとはいうものの、財源的に物事を考えれば、昨年12月に調整されていればその額は支出しないで済むことからも不要なものであったはずです。
     昨年12月の期末手当で調整した府県も現にありました。改正しようとすればできたはずが、対応しなかったことで、本来、減額される額は、一旦、不要な支出になってしまったのではないでしょうか。そして、その支出に係る額を運用していればの利息分はまさに県財政へのマイナスの影響をもたらしたという意識はないのでしょうか、お伺いします。 ◎知事(三日月大造) 職員給与条例および学校職員給与条例について5点御質問いただきました。  まず1点目、人事委員会勧告の重さについての認識でございますが、人事委員会の給与勧告は、職員の労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正給与を確保する機能を有するものであり、人事委員会勧告を踏まえた対応が基本であると認識しているところでございます。  2点目、12月期末手当の支給日までに条例を提案しなかった理由についてでございますが、例年は、職員団体との交渉を経て、また、国家公務員との均衡について地方公務員法に規定がありますことから、国の給与法改正ともタイミングを合わせまして、期末手当の基準日である12月1日に間に合うよう、11月中に関連条例の改正を議会にお諮りしているところでございます。しかし、今年度は、本県の11月議会開会日の時点で給与法が国会に提出されておらず、また、令和3年11月24日付の総務副大臣から知事宛ての通知におきまして、令和3年度の期末手当の引下げに相当する額の調整時期については、地域の実情を踏まえつつ、国家公務員の取扱いを基本として対応することとの要請があったところでございます。これらの状況を踏まえまして検討いたし、国家公務員の取扱いに準じる対応とした場合でも、実施時期は勧告と異なるものの、制度としては勧告の趣旨に沿うことになると判断いたし、さらに、国家公務員給与法案の詳細を見極める必要がありましたことから、11月議会での上程は見送らせていただいたものでございます。  3点目、3月中に調整することについてでございますが、期末勤勉手当は民間企業におけるボーナス、特別給に相当する手当でございまして、期末勤勉手当の改定を実施する場合は、生活給である毎月の給与において調整を行うことは適当ではなく、期末勤勉手当で調整すべきであると考えているところでございます。また、退職手当につきましては他の債権と相殺することができないとされており、期末手当引下げ相当分を減額することはできないものと考えております。国家公務員におきましても令和4年6月の期末手当で調整を行うとしており、本県も同様に対応することが適当と考えているところでございます。  なお、3月末に定年退職した職員が再任用職員となる場合には調整の対象としているところでございます。  4点目の、令和3年12月期の期末手当引下げ分の総額についてでございますが、知事部局等、教育委員会、警察本部を合わせまして約13億円でございます。  最後、5点目、県財政に与える影響についてでございます。今回の取扱いについては、先ほども申し上げたとおり、職員の労働基本権制約の代償措置という人事委員会勧告制度を踏まえつつも、コロナ禍という異例の状況下で、政府からの要請に基づき、国家公務員の取扱いに準じようとするものであり、このような取扱いは特例的なものであると認識しております。運用利息を試算いたしますと約1万3,000円になりますが、議員御指摘の、県財政に与える影響という観点は十分に意識し、引き続き、健全な財政運営について不断の努力を行ってまいりたいと考えております。 ◆32番(細江正人議員) (登壇)今も知事もおっしゃいましたように13億円、期末に支出されている。いずれ戻ってくるとはいうものの、利回りの悪い時期でもあるとはいうものの、やっぱりそれは何とか手当てができなかったのかなという疑念は残るかなというふうに思いますが。終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、32番細江正人議員の質疑を終了いたします。  以上で発言通告のありました発言は終わりました。  以上で、議第1号から議第51号までの各議案に対する質疑を終わります。    ──────────────── △一般質問 ○議長(富田博明) 日程第2、一般質問を行います。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  なお、会議規則第53条において、「発言はすべて簡明にするものとし、議題外にわたり、またはその範囲を越えてはならない」とされておりますので、遵守されるよう、お願いをいたします。  まず、25番竹村健議員の発言を許します。 ◆25番(竹村健議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。一般質問、トップバッターを務めさせていただきます。  先日、コロナに罹患をしてしまいました。皆さんには大変御心配、御迷惑をおかけいたしました。このときのこともいろいろお話をしたいわけでありますけれども、今日は時間がありませんので控えさせていただき、午後からの九里議員に委ねたいというふうに思います。  それでは、びわ湖放送についてをテーマに、一問一答にて、知事、知事公室長、総務部長に伺ってまいります。なお、答弁者を指名しない場合は知事に答弁をお願いいたします。また、当初通告した質問数が大変多いため、残り時間の加減で少し質問を間引きながら伺うかもしれませんので、よろしくお願いをいたします。  びわ湖放送の設備更新に対する支援について12月に広報課より説明がありました。今定例会議でもその予算が一部計上されていますけれども、このことも含めて、この際、幅広く、滋賀県とびわ湖放送の関係性について伺ってまいります。  まず、びわ湖放送設立から今日に至るまで、人的、財政的な関与も含めて県との関わりについて伺います。 ○議長(富田博明) 25番竹村健議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)びわ湖放送は、昭和46年に滋賀県の主導の下、県内民間企業と市長会、町村会、農協、金融機関、県が共に設立して以来、唯一の県域テレビ放送局として、県政の取組や地域生活情報をお届けする、県民にとって極めて重要な媒体としての役割を果たしていただいてきたところでございます。  設立時の出資以降、地デジ化の際の増資等もあり、現在、県からの出資は9,043万9,000円となっているところでございます。また、電波不利地への対策としての中継局の整備に対して昭和46年度から59年度までに約5,600万円、平成19年度から22年度までに約4,300万円の補助金をそれぞれ支出しております。また、運営資金の貸付けも過去には行っており、昭和46年度から平成13年度までは、毎年度、2,000万円から1億円の資金を貸し付けておりましたほか、昭和54年度には、再建対策として、別途1億円の貸付けを行っております。こうした資金的な支援に加えまして、設立当初より、びわ湖放送からの依頼に基づいて取締役候補者を推薦してきているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)歴史をひもといても、設立当初から県との関わりが深いんだということを実感いたしました。  一方で、メディアを取り巻く環境は激変していると聞いており、とりわけ地方放送局の経営は大変厳しい状況であると聞き及んでいます。テレビ局を取り巻く状況、びわ湖放送の経営状況について伺います。 ◎知事(三日月大造) 令和3年の民間調査によりますと、メディア別の接触時間は、テレビの割合が減少する一方でタブレット端末や携帯、スマホの占める割合が増加しており、広告料で見ましても、令和元年には国内の総広告費のうちインターネット広告費が地上波テレビ広告費を上回ったところでございます。今後もメディアの多様化や人口減少に伴う広告料の減少が予想され、テレビ業界の経営は厳しい見通しだと存じます。  こうした中で、びわ湖放送につきましては、地デジ化以降の6年間は経常利益がマイナスとなりましたが、減価償却のピークを過ぎたことや経営努力等により、平成24年度の決算から黒字が続いているとのことでございます。令和2年度におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大幅な広告収入の減少により厳しい経営状況となりましたが、人件費の削減や番組の内製化の促進による経費縮減に努め、最終的には4,508万4,000円の経常利益を確保されたところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)それでは、各論について尋ねていきますが、まず、当局からの説明では、びわ湖放送の放送免許更新に向け、平成18年の地デジ化で導入した設備の更新が必要で、投資額は16億円と聞いています。このうちの一部を県に支援を求めておられるとの説明でしたが、改めて、どのような支援を行おうとしているのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 地デジ化の際に導入した機器をはじめとして、放送設備の更新のため、総額約16億円の経費が必要となるということでございまして、びわ湖放送から、不足する8億円について、県を含む株主等に対して支援を要請されているところです。県といたしましては、このうちの4億円を上限に支援を行うこととし、令和4年度に2億円を出資した上で、さらなる経営改善や株主への働きかけを求め、令和5年度には、その状況を見極め、2億円を上限に追加出資を行うこととしたいと考えております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)令和4年度、そしてまた令和5年度で2億というような御説明やったというふうに思います。  滋賀県がなぜ民間企業であるびわ湖放送の設備投資に対して支援をするのか、合理的な理由を伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほどもお答えいたしましたとおり、びわ湖放送は県が主導する形で県内の行政や民間企業、各種団体とともに設立したものであり、公益的な役割を果たしてきたところでございます。メディアの多様化が進み、テレビ業界を取り巻く環境が大きく変化する時代の中におきましても、県政世論調査において県政情報の入手先の第1位となるなど、今後も県民に親しまれ、信頼されるメディアとしての役割を果たすことが期待されております。  今回の設備更新により、県政の動きを県民に伝え、県政への理解を深めることですとか、地域情報を届けることで地域への愛着や県民文化の醸成を図ること、また、災害時の情報ライフラインとして県民の安全、安心の確保を図ることを一層推進することができると考えております。びわ湖放送に、引き続きこうした公益性を発揮していただくため、県として設備更新の支援を行うものでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)とはいえ、民間企業であられるということは指摘をしておきたいと思います。  過去の支援に加えて、今回も多額の予算を投入されようとしています。ものづくりや中小企業に対する支援など、多くの民間企業に対する支援は県の施策として様々ありますけれども、特定の1企業だけにここまでの支援をしてきたことはあまりないというふうに思います。  ちなみに、びわ湖放送の自社制作番組の比率はどのようになっているのか、テレビ東京、ネット通販の構成比も併せて伺います。 ◎知事(三日月大造) 令和3年の実績でございますが、びわ湖放送の全放送時間のうち自社制作番組は9.3%、テレビ東京の番組は39.9%、通信販売番組は41.0%ということでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)私は通販の番組がどれだけあろうがいいと思うんですね。これは、なぜならば利潤を追求するのが目的の民間企業であるからです。しかしながら、先ほど知事から述べていただいた、支援をする理由に見合う構成比なのか、私は疑問であります。  本県にはZTVなど地域に根差したケーブルテレビも存在しますが、こうした企業からも支援を求められた場合、支援に応じるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 県内のケーブルテレビ局は、基本的に市や町といった県内の一部の地域をカバーする放送局として、地域に密着し、地域の求める情報を提供する役割を担っていただくものと認識しておりまして、まずは地域において対応されるものと考えているところです。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)それでは、エフエム滋賀が設備更新に対して支援を求められた場合、県として支援に応じるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) エフエム滋賀は、民間主導で平成8年に開局され、県民の生活に寄り添った地域情報の発信やラジオの特性を生かした防災情報の提供など、ラジオ放送を通じて県域に情報を発信する役割を果たされており、県内企業とともに県も出資しているところでございます。  今後、仮に支援の要請がありました場合には、必要性や公益性等を総合的に勘案し、個別に検討し、判断してまいりたいと存じます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)仮に県から4億円を出資というようなお話がありましたけれども、なぜ4億円なのか、なぜ増資なのか、改めて、その根拠について伺います。 ◎知事(三日月大造) 今回の設備更新のうち、災害時の情報発信のために必要な機器や県内一円にあまねく電波を届けるための中継局など、特に公益性が高いと認められるものが全体の4分の1程度、約4億円となることなどを勘案いたしまして、これを上限に支援を行うものでございます。  また、支援の方法につきましては、出資のほか様々な手法を検討いたしましたが、例えば貸付金では債務超過となる可能性が高いことや、他の株主等からの支援が得にくくなることなどを踏まえまして、最終的に出資が適切であると判断させていただいたところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)我々が説明を受けたのは16億円のうち8億円は出資、そのうちの半分を何とか県で持ってもらえないだろうかということの説明やったんですが、今の知事の御説明ですと、中継局に対する投資やということを今お聞きしたんですが、そのような限定的なものに対する投資ということで理解していいんでしょうか、再度、伺います。 ◎知事(三日月大造) 全体に必要となるもののうち、そういった県の支援の妥当性というものが得られる、そういう分野を絞って行うという結果、このような数字で確定しようとさせていただいているものです。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ちょっと事前の、我々が受けていた御説明とは違うのかなというふうに思います。  昨年、我が会派の代表質問において、びわ湖放送の放送設備の更新に対する県の対応について伺いましたが、知事は「株主をはじめ行政、経済界、各種団体、県民が一緒になって支えていく必要があると認識しております」と答弁されております。様々なセクターで一緒になって支えようとするならば、現在の株主比率19.65%分、これは、8億円でいうならば1億5,720万円になるんですけれども、この負担でよいのではないですか、伺います。 ◎知事(三日月大造) 県といたしましては、これまでからびわ湖放送に対する具体的な支援内容については他の株主等の動向を見極めた上で検討することとしてきたところです。しかし、びわ湖放送が社として株主へ出資を要請している中で、多くの株主から「筆頭株主である県の具体的な姿勢が見えなければ出資の判断ができない。この増資は公益性を重視したものであり、県が積極的な姿勢を示してほしい」との御意見もあったところでございます。  今回の増資は、県政の動きを分かりやすく伝えるほか、災害時に必要な情報を届けるなど、特にその公益性を重視して行うものであるということも踏まえまして、県として主導的な役割を果たすことが必要な状況と判断させていただいております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)仮に主導的な立場としても、やはり株主比率が19.65%であるんであれば、応分の負担ということであれば、私はこのパーセンテージ内に抑えるべきであるというふうに思います。  仮に県が4億円を出資するとするならば、県の出資比率が現在の19.65%から38.92%になるというふうに聞いており、出資法人の扱いになります。いわゆる第三セクターの形態となり、地方自治法では、毎年、経営状況を議会に報告の義務が課せられるなど、県議会としても大きな責任が生じることに、これを認めることは相当の覚悟が必要であると考えております。  元来、県が出資する法人の多くは公益を目的とする公益財団法人などであり、県が出資している株式会社は信楽高原鐵道や滋賀食肉市場など限られており、設立の背景や出資金の金額も大きく異なっています。そのような中、本県では、滋賀県行政経営方針に基づき、出資法人に対して様々な見直しを、この間、行ってこられましたが、これまでの出資法人に対する県の取組について総務部長に伺います。 ◎総務部長(森中高史) (登壇)お答えします。  これまで平成9年度から平成26年度まで5次にわたり、外郭団体の見直し計画を策定し、法人の在り方や県の関わり方について見直しを行い、法人の存廃や効果的かつ効率的な法人の在り方などの検討に取り組んできたところでございます。  平成27年度以降は、行政経営方針に基づき、出資法人がより効率性、柔軟性等を発揮した運営を行うよう、法人の経営改善、自立性拡大や透明性の向上等に取り組んでいるところであり、例えば地方自治法に基づく経営状況説明書に加えまして、経営評価を実施し、議会に対し、毎年度御報告するなど、県として適切な関与を行っているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)今回、多額の追加出資をすることは、出資法人に対する様々な見直しを進めてきた、今御紹介いただきましたけれども、取組とは逆行する動きであるというふうに考えますし、第三セクターを所管している総務省からは、平成26年以降、「第三セクター等の経営健全化の推進等について」なるものが都道府県知事宛てにも度々通知されているところであります。このようなことからも、県が進めている行政経営方針から逸脱しないのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(森中高史) お答えします。  出資法人への関与につきましては、先ほどお答えしました、法人の経営改善努力等により自立した経営体に転換していくことが基本的な方針と考えております。一方で、県の施策目的を効果的に推進するといった公益性の観点から必要がある場合は、当該出資法人が能率的な経営を行ってもなお、その経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難と認められる経費等につきまして、県が財政支援を行うことはやむを得ないと認識しております。  今回の増資につきましても、地域に密着した唯一の県域テレビ放送局として県政の動きを分かりやすく伝えるほか、災害時に必要な情報を届け、県民の安全、安心を確保するなど、特にその公益性を重視して行われるものと認識しております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)これはBBCの従業員の方も皆知っておられるんでしょうかね、第三セクターになるの。  今回の増資によって出資法人の扱いになるということは聞いておりましたけれども、先ほど説明していただいたように、出資法人に対する関与を薄めていく流れがあるとか、総務省から第三セクターに対する通知が出ていること自体、私自身は知りませんでした。これは私の勉強不足かもしれません。  先ほども御説明いただいたようなところで、できなくはないという御説明でしたけれども、その指針を、ここをちょっと読ませてもらいますと、第三セクター等の設立のところで「地方公共団体は、第三セクター等の設立に当たり、事業の意義、将来見通し等について検討を行うとともに、公民の責任分担の在り方や存続する条件等についてあらかじめ決定しておくことが必要」というふうに書かれていますし、「安定的な継続が可能な規模の資本の確保、地方公共団体の信用力に依存しない自立的な資金調達等についても留意すべき」というようなことも書かれておるので、こういうところの説明をないままに「できなくはないんだ」だけの説明で、私はそれはどうかなというふうに思います。結果的に議論を通じて出資法人になる可能性がないわけではないけれども、予算の可否と併せて、出資法人化することがいいのか駄目なのか、私は県議会でしっかりと議論するべきであるというふうに考えます。  しかも、現在8,000万円と言われる資本金が今回の増資によって1億円を超えることとなり、税法上、大企業の扱いとなります。中小企業の優遇税制が受けられなくなり、また、さらには資本金が5億円を超えると会計監査人の設置が義務づけられるなどのコストがかかることが想定されますけれども、びわ湖放送の取締役でもある知事公室長の認識を伺います。 ◎知事公室長(東勝) (登壇)お答えいたします。  議員御指摘のとおり、今回の増資により資本金が増加いたしますことで税の負担や経費などが増加する側面もあると認識をいたしております。このため、まずは放送事業収入の拡大や経費の削減などの経営努力を積み重ね、収益の確保に努めていくことが重要であると考えております。また、今後の経営を見据える中で、必要があれば改めて中小企業優遇税制の適用を受けられるよう、株主の皆様の御理解も得ながら、資本金の一部を資本準備金に移転するなどの対応を検討していくことも選択肢の一つではないかと考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)今、公室長から減資も視野に入れているというお話がありましたが、もうちょっとそれ、減資って詳しく伺えませんか。以前も減資をされているということも聞いておるんですが、公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) ただいま御質問がございました減資ということでございますが、こちらにつきましては、資本金の一部を資本準備金のほうに計上移転をするというものでございまして、純資産には変更はございませんで、株主に帰属する資産が減少するものではないというふうな取扱いになると考えております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)これ、税金を投入して、すぐに減資、するかどうか分かりませんけど、される可能性もあるということなんですけれども、このことに対して、そもそも県が、税金を徴収する立場から、本来、資本金1億円の優遇が受けられなくなるということに対して簡単にそういうことを容認していいのでしょうか。中小企業育成のための、これは税制度であり、税金を徴収する行政自らが恣意的な減資に対して容認することが許されるのか、道義上、社会通念上、様々問題があるのではないかと考えますが、知事公室長の認識を伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  中小企業向けの様々な税制上の優遇措置につきましては、議員もおっしゃっていただきましたように、財務状況が脆弱な中小企業を支援するという趣旨から、法令に基づき、定められた制度でございます。その適用を受けることも想定して、企業が資本金の一部を資本準備金に振り替えるといったような対応を行うことは、企業がその時々の経営環境に適切に対応していくための方策といたしまして、経営判断として行われるものであるというふうに認識をしております。そうした中で、私といたしましても、その対応が不適切であるということまでは言えないのではないかというふうに考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)今回、コロナ禍で、例えばJTBさんが減資をされて中小企業になられたとか、そういうことの例は私も、大変厳しい状況の中で聞いておるんですが、民間企業だけやったらいいんですよ、今回、公金を投入するんでね、そこが本当にいいのかということを私はしっかりと議論するべきであるというふうに思います。  そもそも民間企業で設備投資をする場合は、自己資金で補えないとき、通常であれば金融機関からの借入金による調達やリースを使うことが一般的だというふうに考えます。今回、全体投資金の半分となる8億円は内部留保と金融機関からの借入れのようですけれども、増資額の8億円についても借入金やリースによる調達は考えられなかったのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  びわ湖放送といたしましても、できる限り自己資金で設備の更新に対応できますよう、リース方式での設備の導入やさらなる借入れの可能性ということにつきましても検討してきたところでございます。しかしながら、出資に代えましてこれらの手法で対応した場合は資本の増強が図られないという中で、借入金の返済あるいはリース料の支払いが経営をやはり圧迫してくるということになりまして、中長期的に債務超過に陥り、資金繰りが立ち行かなくなるおそれが大きいということが見込まれましたことから、借入金やリース方式での調達は困難であると判断されたところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ちなみに、滋賀銀行さんや関西みらい銀行さんはじめ、県内に所在する多くの信用金庫さんも株主として名を連ねておられます。これらの金融機関に借入れの打診はしたのでしょうか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  それぞれの金融機関のほうにどのように打診を、相談をしているかということまでは詳細に把握はしておりませんが、先ほど申し上げましたシミュレーションの中で、借入れをいたしますと債務超過等の問題が生じてくるということでございましたので、今回、その方式については取らなかったというふうに認識をしております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ちょっと聞きたいんですが、債務超過やったら何で駄目なんですか、公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  債務超過だけではなくて、資金繰りのほうが立ち行かなくなるというふうなことで伺っておりまして、その点が問題になっているかというふうに思っております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)債務超過って言われましたけど、中小企業庁の調査によると、2007年から2016年までの10年間で34.8%の中小企業が債務超過であったというようなデータもあります。将来展望があるかどうかが金融機関が最も重要視する判断材料ではないでしょうか。仮に、これ以上貸せないと言われているのであれば、この設備投資そのものに将来展望が見いだせていないとの烙印を押されているのではないかと思いますけれども、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  確かに債務超過になりましても借入れをすることができるというふうな御意見もございますが、先ほども申し上げましたように、今回の場合、借入れ等の対応をいたしますと、どうしても資金繰りのほうが苦しくなっていくというふうな状況もございまして、今回、こういった判断をしているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)いや、私が聞いているのは、設備投資をして、それによってこれだけ売上げが上がる、これだけようなりますということがきちっと説明できたら金融機関は貸してくれはるでしょうと。それを貸していただけないんであれば、その設備投資が、金融機関からしたらどうなのかなということを思われているんじゃないですかということを尋ねているんです。再度、伺います。 ◎知事公室長(東勝) 借入れの御相談というところで、その判断を金融機関と具体的にしたのかというふうなことでございますが、ちょっとその具体的な借入れの相談というふうなところまでは聞いておりませんので、あくまで社内のほうで、金融機関等にも相談させていただいた中で、シミュレーションの中での判断だというふうに認識をしているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)しっかりと、その辺は取締役としても関与していただきたいというふうに思います。  地デジ化したときに今回の設備更新は当然のことながら視野に入っていたはずであります。本来であれば、再投資に備えて十二分に蓄えていくことが経営陣に求められる責任ではないんでしょうか。  今回、仮に予算を認めるとなると県民の税金が拠出されることになります。この際、経営陣の責任を明確にする必要があると考えますけれども、筆頭株主である県のトップとしてどのように考えておられるのか、ここは知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 地デジ化以降、大規模な放送設備の次期更新を見据え、売上げ拡大や人件費の削減、番組制作の内製化などの費用削減等の経営改善に努めてこられましたが、長引く経済状況の低迷やインターネットの普及など外部環境の変化が経営を圧迫したことにより、自己資金による設備更新が困難になったと受け止めているところです。とはいえ、こうした状況になったことについては、経営陣として真摯に受け止めていただく必要があると考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)外部環境の変化というのは、それはもちろんありますよ。私も一経営者ですし、今、私とこの商売を取り巻く状況も大変厳しいです。けど、やっぱりいろんな知恵を絞って、いろんなもうける手段、あるいは違う柱を立てていこうとするのが私は経営者あるいは経営というものだというふうに思います。  平成27年、県議会一般質問で佐藤健司議員がびわ湖放送と県との関わりについて議論をされています。この中で、びわ湖放送の経営に県がいつまで関与し続ける必要があるのかどうか、改めて考えるべきであると指摘をしています。これに対して知事は、引き続き県として応分の支援を行っていく必要があるとの認識を示す一方で、びわ湖放送を取り巻く環境が大きく変わっていく中、出資法人の自立性拡大、県の関与の在り方も含めて検討する必要があると答弁されています。もう一回、言います。出資法人の自立性拡大、県の関与の在り方も含めて検討する必要があると答弁をされています。また、長年にわたって県のOBがびわ湖放送の社長を務めていることに対しても「このままでいいのかなという思いはあります」と答弁されています。さらには、びわ湖放送の将来展望に対して、まずはびわ湖放送自身がどのような将来展望を描くのか、その上で、県としても意思決定に積極的に参画していく、関与していくということを繰り返し答弁されています。  このような課題を認識しつつ6年の月日が経過をいたしましたが、この間、誰がいつどこで、びわ湖放送に対する県の関わりについて議論をしてきたのか伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  放送設備の更新時期が迫る中で県がどのように関わっていくかを検討するため、令和元年度に知事公室次長、広報課、びわ湖放送の常務取締役等によるびわ湖放送の経営に関する検討会議を立ち上げ、びわ湖放送の果たす役割や将来展望について取りまとめたところでございます。その後、県といたしまして、設備投資に対する支援を検討していく中で、県の財政的な関与の在り方なども含め、議論をいたし、今回の支援の枠組みを固めているところでございます。
    ◆25番(竹村健議員) (登壇)この設備投資に対して、県としてどういうふうに関わるかという議論を私は聞いているのではありません。出資法人の自立性の拡大、県の関与の在り方、びわ湖放送の将来展望をどう議論してきたのかを聞いております。問題意識を持ちながらも、ある意味、黙認しながら議論をされていない。びわ湖放送の将来展望について議論すると言って放置していることを私は大変問題視しております。  さて、この16億円と言われる設備投資について詳しく伺っていきますが、その前にまず、昨年度、我が会派の代表質問でびわ湖放送の設備投資について尋ねましたが、令和5年の放送免許更新に向けて設備更新が必要であると答弁をされていますが、予算聴取の資料では「令和6年の放送免許更新に向け」とありますが、どちらが正確なのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  予算の概要を説明させていただいた際には、新たな設備による放送への切替えの時期までを捉えまして令和6年と説明しておりましたが、現在、びわ湖放送が取得しております放送免許の期限につきましては令和5年10月31日でございまして、免許の更新時期といたしましては令和5年となるところでございます。申し訳ございませんでした。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)結局のところ、何年の何月までにどのような許可を得る必要があるのですか。審査の方法も含めて、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  今回の放送免許の更新は、令和5年5月から7月の間が再免許の申請の受付期間となる見込みでございまして、申請後、総務省において書面審査やヒアリングが行われまして、10月に電波監理審議会への諮問を経まして、再免許の可否が判断されることになります。  また、審査の内容といたしましては、放送法に基づきまして、放送の安全、信頼性に係る技術基準に適合するかについて、また、電波法に基づき、放送業務を維持するに足る経理的基礎および技術的能力があるかなどについて審査が行われると承知をしております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)そもそも放送免許更新に向けて設備更新をしなければならないのか。私、1月末に上京し、総務省担当者と面談する機会を得ました。総務省の担当者に確認したところ、総務省のほうで定量的に設備更新を求めているわけではないということでありました。放送免許更新に設備更新が必須との説明を私どもは当局から受けてきましたが、何を根拠に言われているのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  放送設備の更新自体が免許更新の要件ではございませんが、放送免許の更新に際しましては、先ほど申し上げました5年間の免許期間に安定的に放送を継続できるかどうかが審査をされることとなります。具体的には、放送法に基づく審査項目といたしまして、放送中止事故等の防止のために放送設備の安全、信頼性を確保することが求められておりまして、総務省近畿総合通信局のほうからも、放送中止事故を起こさないよう放送設備を維持することを厳しく指導されているところでございます。  こうした中、びわ湖放送におきましては、次期の免許期間中に基幹設備である放送マスターの保守期限が切れるということになりまして、免許の更新に当たりましては放送マスターの更新が必要と判断したところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)総務省では、放送の将来像や放送制度の在り方について、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会が11月から開催されていると仄聞しております。ローカルテレビ局が抱える課題への対応策としてどのようなことが議論されているのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  御質問の検討会につきましては、デジタル化が急速に進展する中での放送の将来像や放送制度の在り方につきまして検討することを目的に、総務省におきまして昨年11月に設置された有識者会議でございます。その中で、放送ネットワークインフラの将来像、放送コンテンツのインターネット配信の在り方、また、デジタル時代における放送制度の在り方などのテーマについて検討が進められているところでございます。  前回、2月16日の検討会におきましては、放送局の資本規制に係るマスメディア集中排除原則の見直し、また、放送対象地域の見直しなどの方向性について議論がされたところでございまして、今後、さらに検討が進められ、今年の夏までに方向性がまとめられるものと承知をしているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)この検討会の内容について、所見を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 地方放送局の課題を踏まえ、放送設備に係る負担軽減や複数の放送局への出資などを制限するマスメディア集中排除原則の見直しが検討されるものであり、びわ湖放送への影響を注視していく必要があると考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)この検討内容は今後のびわ湖放送の在り方に影響しないのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 今もお答えいたしましたとおり、放送設備の共同利用ですとか県域を越えた系列地方局の再編など、びわ湖放送が抱える課題にも関係する議論が行われているところであり、将来的に影響はあるのではないかと考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)先週でありますけれども、「地方の民放、複数県域で同じテレビ放送解禁。総務省が規制緩和案を示す」とニュースが流れました。このような議論がなされている中で、先ほども公室長から御答弁をいただきましたが、マスターについては、先ほど令和5年ですか、についての更新に間に合うように整備をしていくんだというようなことでありましたけども、その前段でお答えいただきました、中継局とかの分に私どもの、例えば県の税金を投入するんであれば、私は本当に今この投資をするべきなのか、年内中に、先ほど夏頃に総務省の方向性が示されるというようなお話もありましたが、この検討委員会の議論の行方を見守りながら投資の判断をしてもよいのではないかなというふうに考えますけれども、知事、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) この検討会でどのような議論が行われるのか注視する必要があると思っておりますが、一方で、今次、必要とされる設備更新等に必要な資金面での手当てというものを、県として一定の展望を持ってしっかりと行うことも必要であると考えておりますので、今回の判断をさせていただいているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ちなみに設備の発注はまだされていないのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  今回予定しております設備更新のうち令和6年3月末に保守期限が迫っている放送マスターにつきましては昨年の6月に設計業務の発注が行われているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)発注は既にされているという理解でいいですか。再度、確認のため。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、発注は、設計業務につきましては既に行われているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)この費用はどうされるんですか、公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  今回の発注につきましては、保守期限が迫る中、自己資金の範囲内で対応できるものということで発注をさせていただいているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)知事公室長も取締役であられると思うんですが、知事公室長もこれについて賛同したのでしょうか。確認です。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  この設備の発注に関しましては、令和3年3月の取締役会におきまして、自己資金で調達可能な範囲ということで取締役会の決議をいただいて、執行がされているものと認識をしております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)このとき知事公室長は取締役ではなかったということですか。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  その際には私は取締役ではございませんでした。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)誰が取締役やったんですか。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  県から就任している取締役につきましては前の公室長が就任をしておりました。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)いずれにしても県の執行部の方が取締役として参画をしておられて、賛同されたというふうに理解をしましたが、この全体予算が16億円という中で、県の分については、まだこれは議決していないわけでございまして、その辺は問題ないんですか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) 今回の増資につきましては、設備投資の総額16億円の見通しの中で資本増強を図っていくということで行うものと認識をしておりまして、今後、投資額の大きくなる時期というのが令和4年、5年、6年というふうなところでございますので、この時期に対応した形で予算のほうも対応をさせていただければというふうに考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ちょっとよう分からへんかったんですけど、要するに、発注をして、仮に県の予算がつかなかったときはどうなるんですか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  びわ湖放送のほうで何とか資金繰りのほうを、やはり手当てをすることがまず第一にはなってこようかと思いますが、資金調達が滞ってしまうということになりますとこの業務の設備投資につきましては、放送マスターの部分につきましては自己資金の範囲内で対応することは可能かというふうに考えております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ということは、マスターの更新が迫っているので、それをしっかりと更新することで放送することを担保する、すなわちそれが放送免許の更新につながるんだと、こういうことやったと思うんですけれども、中継局とかというようなところの使い方の先ほど御説明がありましたけども、ということであれば、別にすぐ県の予算を使わなくてもいいということですか、公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  放送設備のマスター更新につきましては総額で16億円かかってくるわけでございますが、その一部につきましては、先ほど、先行する部分ということで申し上げましたが、総体としては、やはり必要な額というのは16億円必要になってまいりますので、県の趣旨としては、やはり必要になってこようかと考えております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)私は令和4年に2億円要るのかどうかというところを聞いているんです。後でまた議論しますが。  びわ湖放送ではテレビ東京の番組を多く放送しておられます。テレビ東京は今回の設備更新に対してどのような姿勢なのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  びわ湖放送の取締役にはテレビ東京からも御就任いただいておりまして、昨年12月の取締役会におきましては、今回の設備更新につきまして、株主等への割当増資ということで対応していくという方針が確認されたところでございます。これを受けまして、びわ湖放送から、順次、それぞれの株主へ増資による支援を要請されているところでございますが、現時点におきましては、テレビ東京の具体的な対応方針につきましては明らかにされていないと伺っております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)放送法では、認定放送持ち株会社は最大12放送対象地域まで保有が可能とされていますが、これはどういうことなんですか。どういう仕組みなのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  放送法におきましては、「放送することができる機会をできるだけ多くの方に確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの方に享有されるようにする」ということで、1つの放送事業者が子会社を通じて複数の基幹放送を行うことなどを禁止しておりますマスメディア集中排除原則というものが定められているところでございます。  御質問のほうにありました認定放送持ち株会社制度といいますのは、その特例といたしまして、持ち株会社によるグループ経営を可能とする制度でございまして、総務大臣の認定を受けました認定放送持ち株会社につきましては、子会社を通じて12都道府県までを対象地域として放送を行うことができるという制度でございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)今回、テレビ東京さんの例でいきますと、最大12放送地域までが持てるということなんですが、テレビ東京さんは12放送対象地域を全てフルで持っていらっしゃるのか、まだ空きがあるのか、どうなんでしょうか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  テレビ東京系列の認定放送持ち株会社は株式会社テレビ東京ホールディングスということになってございますが、その子会社による地上テレビ波の放送対象地域は、現在、7都府県ということで伺っております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)あと5つ空いているわけですね。テレビ東京の傘下に入ることは考えられないのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  これまでびわ湖放送におきましても、経営の効率化を図る観点から、他の放送局との連携方策につきましても幅広く検討が行われてきたところでございます。しかしながら、御質問にありましたように、テレビ東京の子会社になるといったような連携の場合につきましては、放送する番組内容、また放送時間の編成などにテレビ東京の方針が強く反映されてくるということになりますので、地域独自の放送が大きく制約されることが予想されますことから、びわ湖放送がこれまで地域に根差した放送局として担ってきた役割というものが十分に果たしていくことができなくなるのではないかというふうに考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)テレビ東京さん100%出資になったらそういうようなことになろうかと思うんですが、県の出資は、ある程度、置いたままで傘下に入ることはできないんですか、公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  県の出資部分を残したままということですが、傘下に入るということは基本的に3分の1以上の出資をテレビ東京が持つということになりますが、そういった形でテレビ東京さんの方針、どうされるかということもございますし、傘下に入るということは、やはりテレビ東京さんの方針が強く反映されるという形になると思いますので、先ほど申し上げたような懸念が生じてくるというふうに考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)さりとて全く地域の情報が流せないわけではないというふうに思います。  このような状況の中で、チャレンジングだけれどもやるんだと、やらなければならないと、びわ湖放送さん独自の資金調達で投資をすることに関しては誰も駄目だとは言えません。しかしながら、仮に税金を投入するのならば県民にとって価値ある投資にならなければならないし、その投資をすることによってどのような効果が生まれるのかが県民に対して説明できなければなりません。今回の投資による効果が県民に対してどのようにもたらされるのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 放送基幹設備として最先端の放送マスターを導入することにより、サブチャンネルやインターネット配信の活用が可能になるとのことでございます。台風や地震などの災害情報、新型コロナウイルス感染症関連情報などをはじめ、県民のニーズに合わせたきめ細やかな地域情報の充実とタイムリーな発信を実現することにより、県民の皆様の安全、安心や豊かな暮らしに一層寄与されるものと考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)今も御説明いただいたサブチャンネルですけども、これはどのようなものなのでしょうか、伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員のほうがよく御存じかもしれません。北京オリンピックのときにもさんざんテレビでも流れていました。  メインのチャンネルとは別の番組を同時に放送することができるものだそうでございまして、例えば中継番組が延長となり、予定していた放送時間内に終了しなかった場合でありましても、引き続きサブチャンネルで中継番組の続きを放送し、メインのチャンネルでは次の番組を予定どおり放送することができるといったものだそうでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)この間のオリンピックでも話題になりました。  地方局でサブチャンネルを活用して成功している事例があるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 他のテレビ局等で、スポーツ中継で延長戦を放送するような事例をはじめとして、観光情報の発信、株式市況の中継などがスポンサー獲得に結びつきやすいコンテンツとして好評であると伺っております。また、気象情報や防災情報の提供、議会中継など、地域住民のニーズに合わせた公共性の高い放送に活用されている事例もあるとのことでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)それ、どこの放送局か分かりますか。 ◎知事(三日月大造) 今、私が持っている資料によりますと、例えば議会中継はサンテレビであったり、スポーツ中継等の延長ということであればテレビ大阪、三重テレビ、CBCテレビなどが実施をされている。株式市況などでは三重テレビのほか、東京MXやサンテレビなどで行われているとのことでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)それは、放送をこういうふうに今してはるよという事実を今おっしゃっているんであって、当然、それが放送局として、なりわいとしてしっかりと成功しなきゃ意味がないと思うんですが。そこを聞いているんですが、後ほどまた伺いたいと思います。  あと、インターネットとの連携はどのようなイメージなのか伺います。 ◎知事(三日月大造) インターネットとの連携につきましては、テレビ放送用に制作した番組をNHKプラスやTVerのような同時配信や見逃し配信のためのプラットフォームを活用して発信していくことが考えられます。インターネット配信は県外や海外の方にも閲覧していただけますことから、地域の観光や物産などに関するテレビ番組をホームページやユーチューブなどとも連携させ、滋賀の魅力を幅広く発信していくことなども考えられるのではないかと存じます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)広告収入については放送局よりインターネットのほうが上回っているというようなことでございますので、もちろんそういう方向にはあろうかと思いますけれども、実際にこの滋賀県においてどういうことができるのかということが、まだ私は少しイメージがしにくい状況です。  びわ湖放送の売上げの基となるスポンサーからの広告代が大きく期待できない中、これは一番最初にお尋ねをいたしました、サブチャンネルやインターネットに流すための映像をつくる資金が確保できるのか、私は大きな課題であるというふうに考えますけれども、どのような認識を持っておられるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 今お取り上げいただいた、例えばサブチャンネルの活用により視聴者に見ていただきやすい時間帯の放送枠が増えますことから、CMを出稿する企業のニーズに合わせた放送が可能となり、資金確保が図りやすくなるものと考えております。  また、インターネットにつきましては県内のみならず県外、海外に向けても発信できるものであり、滋賀の魅力を伝えるコンテンツなどについて新たなスポンサーの獲得が図られるものと期待しているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)これは期待なんですよ。期待なんですね。冒頭に現状を取り巻く放送局の課題についてお尋ねをしましたが、大変厳しい状況だということをおっしゃいました。結局、今、メインチャンネルでも厳しい状況なんですね。それに、またサブチャンネルをつくって、そこに対して、またリソースを投入しなきゃいけない。人的、そして、またここで番組制作にもお金も要るし、なおかつ、ここで流すためのスポンサーの確保もしなきゃいけない。ということは、現状、メインチャンネルでも厳しいところへ、サブチャンネルもスポンサー探しをしなきゃいけないということで、この辺が本当にできるのやということを、知事は先ほどいろいろ御説明いただいたんですが、どうもそこが期待なんですよ。  私、先ほど地方局の成功例を聞きましたけど、やっぱりこれね、先ほどの議会中継とかは県がお金を出して番組制作してもらっとるわけですよ。この辺、民間が、なかなか今の状況のメインチャンネルにも広告代が集まらない中で、サブチャンネルが1つ強みだということをおっしゃっているんですけども、本当にそうなるのか、この辺、知事、どうですか、再度お尋ねしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 地方局、地方テレビ局というものの設備更新を図ることで、今申し上げたサブチャンネル、またインターネットとの連携、これができるようになることは、メインだけでも厳しいのに、そこに人や番組制作のリソースを投入して、それで成り立つのかというような課題というのは、やっぱりこれは付きまとうと思います。これはそんなに簡単なことではないと思います。今より選択肢は増えますが、そこにかけなければならない労力もかかりますので、経営として成り立っていくのかというのは極めて厳しく見積もらざるを得ないと思います。  ただ一方で、後でお尋ねがあるのかもしれませんが、地域の情報をどのように伝えていくのかという、この使命との間でどのように支援を組み合わせていくのか、こういうことで県としての考えを、今、まとめようとしているところでございますので、そういったことの中で判断をしていかなければならないのではないかと思います。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)今回、サブチャンネルというのがストロングポイントだということを盛んにおっしゃっているんですけれども、くどいようですけれども、メインチャンネルに既にスポンサーさんがおられて、裏で、サブチャンネルでつくりますということになると、じゃ、このメインチャンネルのスポンサーさんからすると、そんな余計なことをしてくれるなというようなことになったりね。だから、NHKはいいですよ。ただ、民間の放送局というのにサブチャンネルというのが本当に成功をこれからしていくのか。私、知り合いにメディアに働いている者がおりまして、今回、いろいろ取材をしたんですけれども、その辺はかなり懸念をしておりますので、私はこの辺の議論もしっかりとしていく必要があるのではないかなというふうに思います。  県から見た、びわ湖放送が果たす役割とその必要性について、改めて知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来お尋ねいただき、お答えもさせていただいておりますが、びわ湖放送──BBCは、設立以降、県政の動きを県民に知っていただく役割、また地域生活情報をお届けする役割、県民文化を醸成する役割、災害時に地域に密着した情報ライフラインとなる役割を果たしてこられたと認識しております。特に目下のコロナ禍においては、日々の感染状況や必要な感染対策、様々な支援制度等の発信を行うとともに、放送事業のノウハウを生かした教育サポートや無観客で行われた高校野球のテレビ中継を実施するなど、また、今日のこの議場の様子もダイジェスト番組で放送していただくなど、県民の皆様から必要とされる役割を果たしてこられたと考えております。  県民の皆様に信頼性の高い情報を届けることの必要性がますます高まっている中で、びわ湖放送は誰でも手軽に地域の情報や県政情報を入手できる主要な広報媒体の一つとして、県民の生活や福祉の向上のため、引き続き公益性を発揮していただく必要があると考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)その割には毎年のようにびわ湖放送に対して予算を削減しておられます。びわ湖放送の果たす役割と必要性に対して、どこまで県の思いがあるのか疑念を抱かざるを得ません。ここ数年の県からの委託料の推移について伺います。 ◎知事(三日月大造) びわ湖放送への委託料は、地デジ化後の平成19年度には当初予算ベースで3億600万円でありましたところ、令和3年度は1億6,100万円となっているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)半分に落ち込んでいるというようなことやと思います。それと、先ほど知事がびわ湖放送に対する思いを語られたのとのギャップを私はすごい感じます。なぜびわ湖放送に対する委託料を削減してきたのか、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 平成20年度以降、厳しい財政状況を踏まえ、県全体で行財政改革に取り組む中であらゆる事業の見直しを行い、歳出予算を大幅に削減してきたところでございます。情報発信に係る予算も削減させていただいたため、結果として、びわ湖放送に対する委託料も減少することとなったところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)それでも先ほどの熱い思いがあるんであれば、しっかりとその情報発信について、びわ湖放送を使って、お金はかかるけれどもしっかりと委託料を積んでいくんだということであれば、私はそれはそれでいいのではないかなというふうにも思います。  今回、4億円を拠出する根拠、そしてまた、増資によって出資法人になる、いわゆる第三セクター扱いになること、また、税法上でも大企業扱いになり、減資のお話もございました。あと、また民間企業にどこまで県が関わるのか、設備更新によって県にどのようなメリットがあるのか、サブチャンネルのお話ですけれども、具体的にイメージできない中で、びわ湖放送に対する4億円の支援を固めるのは、議論の、私は熟度が高まっていないのではないかと考えますけれども、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 今回、様々な観点でお取り上げいただいて、長年にわたる、また現在の、そして将来を見通したびわ湖放送との関わりについて様々な観点から議論を投げかけていただき、深めていただきました。県といたしましても、これまでお答えしてきましたとおり、今回の投資に対し、どう対応していくべきか、種々様々検討してきたところでございます。そうした中で、びわ湖放送は県民に身近で信頼される情報媒体でございまして、今後も引き続き県民の安心、安全の確保や県民文化の醸成といった重要な役割を担っていただくためにも今回の出資は必要不可欠なものであること、また、今後、他の株主の皆様をはじめ、行政、経済界、各種団体等に広く支援を求めていく必要がある中で、県としても一定の方針を持って対応する必要がありますことから、今回、4億円を上限として、令和4年度から2か年にわたり支援することが適当と判断させていただきました。  今後、御懸念の点については、県民の皆さんの御理解が得られるよう、しっかり県としても説明していくとともに、びわ湖放送が県民の皆さんから、より熱い御期待に応えられるよう、筆頭株主として、企業としての意識をこれまで以上に高め、さらなる経営改善等にしっかりと取り組まれるよう働きかけを行ってまいりたいと存じます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)思っていた以上に時間が余りまして、全ての質問をすることができたんですが、このお話を聞いたのは12月なんですよ。やはり私は、最終的に出すという方向に結論としてなることに対して、それは私もいいと思うんですが、やっぱりこの間の議論が少な過ぎると私は思っています。予算があって、それで出資法人になっちゃうとか、やっぱりこの辺もパッケージでしっかりと議論するべきやというふうに思いますし、県議会において、出資法人になって今後も県議会にいろんな報告もしてもらうことになるようなことなんかも、もっとこれをしっかりと議論した中で、本当にいいのか、その出資するやり方が、ということを私は思いますし、まだまだそこに対する議論というのが不足しているのではないかなと。この辺の指摘を申し上げて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(富田博明) 以上で、25番竹村健議員の質問を終了いたします。  次に、17番山本正議員の発言を許します。 ◆17番(山本正議員) (登壇、拍手)それでは、ネオニコチノイド系殺虫剤と健康しがについて、一問一答方式でお伺いいたします。  近年、疑問視されている問題の一つにネオニコチノイド系殺虫剤という農薬があります。1993年から全国の水田で最も多く使われている殺虫剤ですが、最近、釣り人向けに書かれた1冊の本をきっかけに注目が集まり、ネオニコチノイド系殺虫剤が幾つかのメディアに登場しています。昨年11月に出版されたこの本は、東京大学の山室真澄教授が、宍道湖のワカサギとウナギが1993年を境に漁獲量が壊滅的に減少したというものです。山室教授が学生時代から30年以上にわたりモニタリングされ、その原因を調査研究されてきたもので、2019年にアメリカの「Science」誌に論文が発表された内容となっています。  日本で最も多く使われているこのネオニコチノイド系殺虫剤に関する研究については、実は以前からほかにも様々な分野の専門家が研究に取り組まれ、発表されてきました。また、これら日本の科学者の論文にいち早く反応して、EU諸国はほとんどの使用について禁止したり厳格化したりしています。日本でもトキの復活を願い、コウノトリの復活を願い、農業者自らが使用をやめている地域もあります。しかし、現在の日本の水田農業にとっては害虫の駆除において利便性の高い重要な農薬であり、農林水産省や農薬工業会からは人体にも安全であるとしています。  今回の質問では、滋賀県に及ぼす影響を取り上げ、ネオニコチノイド系殺虫剤に対する県の姿勢をただし、確認することによって、県民の不安を払拭していきたいと思います。そして、この殺虫剤が、何よりも県民の健康のため、滋賀県の農業、漁業のために、また、滋賀県の自然環境や生態系のために、今後の県の取組に一石を投じられることを願い、質問していきたいと思います。  まず、ネオニコチノイド系殺虫剤、以降、ネオニコ殺虫剤と略して呼びます。その特徴について農政水産部長に伺います。以降、新たに指名するまで農政水産部長に伺います。 ○議長(富田博明) 17番山本正議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)お答えいたします。  ネオニコチノイド系の殺虫剤は昆虫の神経系に作用し、カメムシ類やウンカ類などの害虫に効果が高く、それまで主流となっておりました有機リン系の殺虫剤に比べまして人や水生生物に対する毒性が弱いという特徴があり、主に水稲害虫の防除に使用されてございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)ネオニコ殺虫剤は全国で1993年5月の田植時期から使用が始まりました。その後、日本では合計で7種類のネオニコ殺虫剤が認可され、農業の重要なツールとして使用されています。ネオニコに対する国、農水省の見解について伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  ネオニコチノイド系の殺虫剤は他の殺虫剤に比べまして人や水生生物に対する毒性が弱いことから、水稲のカメムシのほか、様々な作物の防除に広く使用されている殺虫剤であるとされ、平成25年から実施されているミツバチの被害事例に関する調査からは欧米で報告されているような蜂群崩壊症候群の報告はないものの、継続してミツバチへの影響に対する試験研究を行い、必要があれば使用方法の変更も検討していくとされてございます。  また、国では、改正農薬取締法に基づきまして、ネオニコチノイド系の農薬を含む全ての農薬につきまして科学的知見を収集し、安全性等の再評価が行われているところでございまして、その結果に基づき、必要に応じて登録およびその内容の見直しが行われるものと承知しているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)国のほうでは、現段階ではほとんど安全、そして、再評価中であるということでありますが、今の段階ではまだ万が一ですが、問題があるとなれば、滋賀県の地形を考えると、全国の中でも最も影響を受けやすい形になっているのではないでしょうか。周囲を山々に囲まれ、日本最大の湖である琵琶湖を真ん中に擁した、県全体がすり鉢のような特徴的な形をしています。周囲の山々から500本を超える河川によって雨水を集め、100本を超える河川から琵琶湖に運ばれています。そして、県土の約6分の1を占める水田のほとんどにおいてネオニコ殺虫剤は使用され、田植時期から水張り期間において、この河川から琵琶湖へと排水されていくことになります。  このネオニコ殺虫剤の県全体の使用量について伺いたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  農林水産省調べによります農薬の流通量とそれぞれの農薬に含まれる成分量から推定をいたしました本県の令和元年におけるネオニコチノイド系農薬の使用量は約6トンでございまして、県内で使用される全農薬のうち約2%に相当しております。 ◆17番(山本正議員) (登壇)言うまでもなく、琵琶湖の水は県民の日々の飲料水として、また、そこで取れる魚介類は県民の大切な食文化となっています。いにしえより連綿と続く、琵琶湖を中心とした、全国でも類を見ない滋賀県特有の地理構造と生活環境です。自然環境や生態系にとって、何よりも人体にとって安全でなければならないものです。そのことが確認されることを考えるわけですが、そこで、散布される水田の状況はどうなっているのか、ネオニコ殺虫剤が使われ出した1993年以降、おおむねこの30年間における田んぼの中の生き物の種類や生息数は、詳細に調査されたものはないと承知していますが、現場の実感として、どのように変化してきたのか伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  2008年から2010年にかけまして、県内各地で環境こだわり農業の実施が多い地区とそうでない地区を比較して、シオカラトンボ類やクモ類などの生物多様性の指標となります生物の生息状況を比較した試験を実施してございます。農薬の使用量を50%以上減らした環境こだわり農業の実施が多い地区のほうが実施の少ない地区に比べましてこれらの生物が多く生息しているという調査結果でございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)田んぼの生き物が減ってきているという結果になっているという、使用されているところではという話やったと、今、受け取りました。(発言する者あり)そうは言うてないのか。  私の実感なんですけど、私たちが子供の頃、若かりし頃、田んぼの中といいますとドジョウやタニシやザリガニからいろんなものが見受けられた。それが最近では、私の周囲ですけども、なかなか見かけないなというのが実感です。  次に、冒頭に紹介しました「Science」誌に掲載された山室氏の論文によると、宍道湖のワカサギとウナギが1993年を境に壊滅的に減少したとあります。その原因を、ネオニコ殺虫剤によって魚の餌になる動物プランクトンや節足動物、水生昆虫が著しく減ったことであると結論づけています。  琵琶湖においては、この頃も含めて、セタシジミやホンモロコをはじめ多くの種類で漁獲量は大きく減少していますが、汽水湖である宍道湖と琵琶湖では、湖を取り巻く環境や仕組み、広さや深さ、地形などには大きな違いがあって、そのまま当てはめて論じることはもちろんできません。  では、びわ湖にすむ生き物の状況はどうなっているのか、ネオニコ殺虫剤が使われ出した1993年以降、おおむねこの30年間における漁獲量がどのように変化してきたのか、その傾向を伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  1993年を境にどうかという点とは異なりますが、例えば最重要魚種でありますアユにおきましては、1993年には1,572トンあった漁獲量が、直近となる、その27年後に当たります2020年には373トンに、また、ホンモロコでは231トンから33トン、セタシジミでは234トンから37トンなど、漁獲量が減少しております。  一方、ニゴロブナでは50トンから40トン、ビワマスでは34トンから26トンと、さほど大きな変化ではない魚種もございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)琵琶湖の場合、宍道湖と違って多岐にわたる要因があると思います。もう1つは、宍道湖の大きさそのもの、そして琵琶湖の北湖の大きな水の量、それに対するネオニコ殺虫剤の使用量ですので、大きな変化はまだない。しかし、そうは言いましても、だからどうするのか。宍道湖でのこの結果を受けてどうするのか、琵琶湖での研究や検証に生かすべきであると考えます。  セタシジミ、ホンモロコ、ニゴロブナなどの漁獲量が激減していることに対して、数年前、県民参画委員会で元県漁連組合長の望月さんが言っておられた印象的な言葉が今も残っています。「毎日というほど水のそばで仕事をしている私らが言う。幾らいろんな説明を聞いても納得できない。何かがおかしいと感じる」というものでした。ネオニコ殺虫剤を原因とする動物プランクトンや水生昆虫の減少によって、それを餌とする魚介類が減少したと報告のあった宍道湖の例を一つの検討課題として考えられないでしょうか、再度、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  今、御指摘をいただいたような、餌となります動物プランクトン、水生昆虫といったこととの関連ということにつきましては、一定、そうした影響があろうと思いますし、そうしたことについての解明をしようとしておりますけれども、現時点で、そのこととネオニコチノイド系の農薬との関連ということについては明らかになったものはないものというふうに承知をしております。 ◆17番(山本正議員) (登壇)次に、全国の動きを伺いたいのですが、冒頭で少し触れましたが、絶滅と言われたトキの復活を目指している佐渡市では、農家が中心となってJAを説得して、水田を餌場とするトキのためにネオニコ殺虫剤の販売をやめられたということであります。テレビの報道特集のインタビューに対して農家の方が「私たちはトキに田んぼの中の餌を増やしてやると約束した。現在ではトキが200羽を超えるまでに復活した」と誇らしげに話されていました。今ではその田んぼの米は「トキとの共生米」というブランド名で出荷もされています。また、兵庫県豊岡市でもコウノトリの復活をめぐって同様の取組が進んでいると聞きます。  このように全国でネオニコ殺虫剤を使用しない米作りに取り組んでいる自治体はどのくらいあるのか、また、その成果についても分かる範囲で伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  議員御紹介の新潟県佐渡市や兵庫県豊岡市のほかに、農薬を使用しない有機農業の取組によりナベヅルの飛来地づくりを目指した岡山県や徳島県の事例、また、学校給食に有機米を提供するために有機農業を推進されている千葉県いすみ市の事例などがあると承知をしております。また、県内でも高島市では、農薬、化学肥料を使用しない農産物を認証する高島市農産ブランド認証制度があるものと承知をしております。  こうした取組の成果について、例えば農地における生物多様性が向上いたしますほか、農産物のブランド化によるイメージアップと認知度向上、さらに、学校給食を通じた食育の推進などにつながっているものとお伺いをしているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)滋賀県においては、平成15年に環境こだわり農業推進条例を制定して、安全で安心な農産物によって湖国農業の健全な発展と琵琶湖環境の保全、健康と心の安らぎを得ると高らかに宣言されました。人の健康、自然の健康にこだわり、農薬や化学肥料の使用を半分に抑えた環境こだわり農業に賛同し、苦労や手間暇を惜しむことなく、環境こだわり農業に取り組まれている農家の皆様に心から敬意を表し、感謝いたします。まさに滋賀県が全国に誇る取組となっています。だからこそ、このような農家の方々が将来的にも誇りを持って取り組んでいただけるような今後の発展的な進化でなければなりません。また、期待もされています。それには、このネオニコ殺虫剤問題に対して、国の動きがまだない中、遅い中にあっても、全国に先駆けて県全体で準備や対策を取っていくべきだと考えます。  滋賀県が自負する環境こだわり農業のトップランナーとして今後の取組とさらなる展開が注目されていますが、ネオニコ殺虫剤に対する今後の動きも勘案した農政水産部長の考えを伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  全国に先駆け、環境保全型農業に取り組んでまいりました本県といたしましては、国のみどりの食料システム戦略の中においてもトップランナーであり続けたいというふうに考えておりまして、そのために、ネオニコチノイド系に限らず、化学農薬のさらなる使用低減に取り組む必要があるものと認識をしております。このため、今後は農業のグリーン化に向けて、環境こだわり農業やオーガニック農業への取組を一層進め、さらなる農薬の使用が削減されるように推進してまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)今、「この国の動きの中にあっても」という名称が出てきましたけども、それは、いわゆるオーガニック農業を、現在1%であるものを25%に引き上げる、それが2050年という、つまり今からいいますと28年後、約30年、おおむね30年後に25%まで引き上げる。今この問題を出してきているのは、ネオニコチノイド系殺虫剤、この農薬について様々な論文が発表されたり、また検証されたり実験があったり、そんな中からこれをいろんな場面で検討し、そして進めていかなければならないという、このことについてなんですが、今、部長がおっしゃった、その国の動きでいいますと約30年後に1%から25%というオーガニックです。しかし、私が言おうとしているのはオーガニックの話ではなくて、現在、この1%以外の99%の方が必要としている殺虫剤、ネオニコ殺虫剤に対して、これをどうしていくんだという話なんです。しかも琵琶湖というこの特殊な環境を抱えた滋賀県として、その動きを待っていてはいけない。やっぱり何らかこれから考えていかなきゃいけない。30年後にこれが25%、つまり75%の方がまだネオニコ殺虫剤を使っているかもしれない。そうあっては、やはり滋賀県の様々なものを守れないと思います。だからこそ、農業の分野からも真剣に真正面からこの問題に取り組んでいただきたい。オーガニックという言葉を出せばそれで済むという問題では全くないと思います。今のこの問題は、またそれはそれの話で、これは、このネオニコ殺虫剤という殺虫剤の持つ特性を、今後、県の農業としてもしっかりと取り組んでいただきたいということであります。  そのことについて、農政水産部長、何かお考えありましたらお願いいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) オーガニックとの関わりだけで考えますと、オーガニックであれば、当然、農薬を使わないということでありますから、このネオニコ殺虫剤も含んでということになるわけでありますけれども、オーガニックのみならず、我々は環境保全型農業に先進的に取り組んできた本県として、国のこの戦略の中にあっても、やはり平均的な姿ではなく、トップランナーであり続けたいという思いを持って取組をしていこうというふうに考えております。したがって、オーガニック農業への取組のみならず、幅広く、平均的な姿ではない、もう一歩進んだ形を目指してまいりたいというふうに考えております。 ◆17番(山本正議員) (登壇)次に、ここからは琵琶湖環境部長に伺いたいと思います。  ネオニコ殺虫剤が承認され、使われ出した1993年以降の琵琶湖での変化や異変には様々な現象が見られます。1つに、先ほど農政水産部長に質問しました漁獲量の減少が挙げられます。これらの原因が、今までの通説だけではなくて、複雑でない環境下にある宍道湖の報告があったように、ネオニコ殺虫剤が害虫だけでなく益虫も見境なく殺している、動物プランクトンや水生昆虫を減らしたとする説をどう考えるのかが重要になってきます。  ネオニコ殺虫剤を原因とするアプローチはされてきたのでしょうか。餌となる水生昆虫の減少や琵琶湖におけるネオニコ殺虫剤の濃度、河川からのネオニコ殺虫剤流入量、あるいはそれを原因とする動物プランクトンの減少などです。琵琶湖の水質におけるネオニコの濃度、含有量について伺います。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)お答えいたします。  県ではネオニコチノイド系殺虫剤の調査は行ってはおりませんが、2011年から2012年にかけて、県内の一部の河川において民間企業が分析手法の開発等を目的としてネオニコチノイド系殺虫剤の分析調査を実施し、学会等に発表したことを承知しております。その結果によりますと、調査を実施した全ての河川においてネオニコチノイド系殺虫剤が検出されており、琵琶湖にも流入していると考えるのが妥当であると考えております。  なお、検出した濃度のレベルは全ての地点において環境省が設定している水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準より低い値でございました。 ◆17番(山本正議員) (登壇)過去にはそういったことがあった。県ではモニタリングをされていないということだと思います。  ネオニコ殺虫剤に関してはほかにも様々な報告がされています。宍道湖では、トンボのウチワヤンマの定点観測を長年続けてこられたトンボ研究家の大浜祥治さんが「1993年を境に極端に減った。ほとんど見られない。全く理由が分からず、気味が悪い」という報告をされています。同様に、富山県の二橋亮さんの報告もあります。そういえば私の身の回りでも、夏休みの終わる頃から秋にかけて、あれほど飛んでいたアカトンボを今はほとんど見かけなくなりました。同様に、ユスリカについても同じように感じます。私の場合、南湖での話ですが、以前、あれほど目にした、湖岸近辺で大量発生していたユスリカも現在ではほとんど見なくなっています。  ユスリカについては、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの研究報告書第7号の記述に「琵琶湖のユスリカは琵琶湖にすむ動植物の中で159種と最も種類が多い。幼虫は底生動物や魚類、水鳥の餌として、成虫は陸生昆虫や鳥類の餌として、琵琶湖の生態系を底辺で支える重要な存在である」とあります。そのユスリカが激減しているのであればゆゆしき事態であると考えますが、琵琶湖の湖岸域における水生昆虫や生き物の状況について伺います。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  琵琶湖には170種を超えるユスリカが生息していると言われております。そのうちオオユスリカやアカムシユスリカにつきましては水質改善や水草の大量繁茂が一因と考えられる減少傾向が2000年代に見られたことがありましたが、ほかの種のユスリカにつきましては特に変化は見られておりません。  また、琵琶湖博物館が滋賀県のトンボ類について2010年代の分布状況を調査し、1990年代の結果と比較しましたところ、トンボ類の一種であるアキアカネが県内で減少していることが確認されております。その原因の一つにネオニコチノイド系殺虫剤を含む浸透性殺虫剤の影響を指摘する意見もありますが、因果関係は特定されていないところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)因果関係は特定されていません。そのことをもって、ではどうなるのかという話なんですが、先ほど言われましたオオユスリカとアカムシユスリカ、私が調べたときには2000年をピークとして2003年以降はほとんど飛来しなくなっているということでした。これはオオユスリカとアカムシユスリカです。  ネオニコ殺虫剤が害虫だけでなく益虫も見境なく殺している、そして、動物プランクトンや水生昆虫を減らした、そういう一端の現象であるかと思うんですが、これをどう考えるかが重要になってくると思います。また、琵琶湖の自然環境、そして生態系を維持する、守る琵琶湖環境部として、今後、どのように生かしていくのか、今話題になってきているこのことをそのままスルーだけではなかなか難しいかと思うんですが、モニタリングも含めて、琵琶湖環境部長のお考えを伺います。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) 先ほど申し上げましたように、ネオニコチノイド系農薬の環境の影響については、因果関係はまだ明らかになっておりません。それと、先ほど申しましたように、決められている基準より低い値であったということからも、今、調査を直接行う必要はまだないかなと思っております。  ただ、この農薬による環境影響について科学的知見はまだ十分ではないと思いますので、まずはいろんな国内外の情報を収集して把握したいと思っています。それと、県民の皆さんとかに正確な知識を持っていただけるように分かりやすく情報提供することも必要かなと思っております。 ◆17番(山本正議員) (登壇)ぜひ、県民の安心につながる取組をお願いいたします。  次に、県独自で研究を進める必要性について、また、ネオニコ殺虫剤に頼らない農業についての2点を知事にお伺いします。  まず、県独自で研究を進める必要性についてですが、最も気になるのは人体への影響です。前述のとおり、水田で使用が始まってから以降、それを含んだ排水は全て河川を通じて琵琶湖に流入しています。7種のネオニコ殺虫剤を登録している国の見解は「体内に入ってもニコチンと同じように滞留することはない。人体に影響はない」と言います。しかし、神戸大学大学院の星信彦教授による実験では、「無毒性量が投与されたラットは50センチの高さの細い台に置かれたときにはおびえて鳴いたり、歩くことができなかったりした。通常のラットが平気に歩き回ったことを見ると、ネオニコが投与されたラットには明らかに不安行動が確認できる。人にも何らかの影響があるのではないかと懸念される」と結論づけられています。私が最も気になったのは、教授が最後に「国の方針を決められた人はこんな実験をやってない。知らないのでは」というくだりでした。  一昨年10月に東京で開かれたシンポジウムにおいて環境脳神経科学情報センターの木村‐黒田純子博士は「農薬は今も多種類の毒性試験をやっている。しかし、人への毒性は調べていない。調べられない。そのために後から毒性が分かることがある」と述べておられます。同氏が2012年に発表した論文では、子供のラットの脳細胞にニコチンと2種のネオニコ殺虫剤を注入した実験、どちらも神経細胞が興奮して反応する、あくまでラットの実験によりますが、ネオニコ殺虫剤は人の子供の脳にも影響を与える可能性があると警告しました。  さらに注目すべきは自閉症、広汎性発達障害が日本で増えているとの相関関係についてです。自閉症、広汎性発達障害の有病率とネオニコ殺虫剤の農地単位面積当たり農薬使用量を表したものですが、1位、2位の韓国、日本が突出して多く、続いて、その半分くらいのアメリカ、イギリス、あとの順位もほとんど同じ国が続きます。関係ないはずの2つの棒グラフがほぼ同じように一致しています。これをEFSA──欧州食品安全機関が評価し、前述しましたEUによるネオニコ規制に一定の影響を与えています。滋賀県におきましても、因果関係は全く不明ですが、ネオニコ殺虫剤が使われ出した1993年頃から特別支援学校の生徒数が急激に増え出しています。  また、ネオニコ殺虫剤は、人体に入ってもニコチンと同様に血中濃度は30分で下がり、すぐに尿で排出されるとされています。これに対して東京女子医大の平久美子医師によるマウスの実験によりましては、ネオニコ殺虫剤は体内に徐々にたまっていって、微量でも毎日摂取しているとだんだん体の中のネオニコ殺虫剤濃度が上がっていってしまうと結論を出されています。  このように様々な角度から危険性が叫ばれてきている中、滋賀県として、積極的にネオニコ殺虫剤との関連性を究明していく必要があると考えます。ネオニコ殺虫剤が琵琶湖の自然環境や生態系にどのように影響を与えているのか、さらには、琵琶湖の水を飲む人体への影響、県民の健康に影響はないのか、琵琶湖という特異な環境を有する滋賀県としては、国の動きを待つだけではなく、早急に知見を集積し、独自に明らかにしていく必要があると考えますが、健康しがを提唱される知事の考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)私たちの暮らしを映し出す鏡である琵琶湖をお預かりしている本県では、次々と生み出される新たな化学物質が人の健康や環境に与える影響について常に注意を払うとともに、必要に応じて速やかに対策を取れるよう、水質をはじめ様々なモニタリング調査を実施しているところでございます。  今回、御質問いただきましたネオニコチノイド系農薬につきましては、国の最新の知見においても現状の濃度レベルにおける人の健康や環境への影響との因果関係は明らかではなく、琵琶湖や農地においても生物や水質に顕著な変化が見られていない現状においては、直ちに県自ら調査等を実施する状況にはないと考えております。  その一方で、ネオニコチノイド系農薬の科学的知見はいまだ十分とは言えないのも事実でございまして、様々な、今御紹介いただいた論文や発表等も行われている、こういう状況下でもございます。国内外の情報把握に努め、県のモニタリング調査や農地における生き物調査等の変化と照らし合わせた上で、必要に応じ、例えば国に対するモデル的な調査の要望や大学等との共同研究を検討するなど、健康しがの知事として、県民の皆さんの安全、安心につながるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)確かにおっしゃるとおり、因果関係は明らかでない状況です。しかし、予防原則、「疑わしきは」というやつです。過去にも日本では水俣病をはじめ様々、苦い経験があると思いますが。知事がおっしゃった国に対するモデル調査、これで真っ先に滋賀県から始めていただきたい、せめて。一番影響を受けるこの滋賀県であると、どうしても考えてしまいますので、そこのところもよろしくお願いいたします。  また、ネオニコ殺虫剤に対するこの動きは国でも既に始まっているとも聞きます。様々な情勢を勘案すると、近い将来に突然の転換を余儀なくされることも少なからず予想されます。そのときに滋賀県の農業が困ることのないように、滋賀県の農業を守るために、これまで環境こだわり農業に取り組んでおられる滋賀県の農業者の誇りを守るためにも、ネオニコ殺虫剤に頼らない新しい農業への転換に対する研究や準備を今以上に、全国に先駆けて進めていくべきではないかと考えますが、健康しがを提唱される知事の考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 既に提案説明等でも表明させていただいているところでございますが、詳しく述べますと、本県で実施した試験研究結果から、環境こだわり農業を進めることによって農地の生物多様性が向上することが明らかになっており、農業のグリーン化の推進に当たり、農薬をさらに削減する取組が重要であると考えております。特にネオニコチノイド系農薬は一般消費者の方々においても心配される方が多いことも承知しておりまして、消費者から支持される農業を推進する観点から、ネオニコチノイド系農薬を使わないようにすることができれば、その意義は大きいと考えております。  このため、令和6年に本格的にデビューする予定の水稲新品種につきましては、オーガニックをはじめ、ネオニコチノイド系農薬を使用しない栽培に限定したものとしていきたいと考えております。また、環境こだわり農業推進基本計画について改定時期を迎えておりますことから、従来から取り組んでいる環境こだわり農業の中で、オーガニック農業や新品種だけでなく、ネオニコチノイド系農薬を使用しない取組を広く推進することができないか、検討を始めていきたいと考えているところでございます。  そういう意味でいえば、環境先進県、環境農業先進県としての自覚も持ちながら、そういった対応、対策をしっかりと準備、進めてまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)今回の質問は、昨今のネオニコ殺虫剤に対する危惧や懸念、県民の不安をいかに払拭するか、どう対応するか、県民の健康、人体への影響、そして農業、漁業をいかに守るかであると思います。もちろん国が言っているように、現段階のようにネオニコ殺虫剤が全く安全で影響はないとなれば杞憂にすぎないのかもしれません。しかし、琵琶湖を有する滋賀県としては、やっぱりこのことに対して必要なモニタリングや積極的なしっかりとした調査研究を、第一義的には国であっても、滋賀県として進めるべきだと思います。  今、知事の最後の答弁に少しありましたので、その方向では検討するということで安堵いたしましたが、これらの今のこの社会の動き、世の中の動きを県政に生かさない理由はないと思います。これを機に、今後の調査研究を、ぜひ、引き続き進めていただきたいと思います。  知事は県民のこと、琵琶湖のことを考えない時間は一瞬たりともないと言われました。ぜひこの問題に関しまして、知事の取組を期待いたします。  ネオニコチノイド系殺虫剤に対する、また、それに頼らない農業への検討を広く進めていくという知事の考え、もし何かありましたら、最後にもう一度、お願いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど述べた答弁で全て尽きております。様々な課題がありますし、そういった課題に懸念を持たれる方々もいらっしゃいます。ただ、十分な知見がまだ集まっていないという状況下でどのようなことができるのか、情報も集め、そして、県には琵琶湖環境科学研究センター等もございますので、そういった機関等をどのように活用していくのかということも含めて、考えて行動に移してまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) 人への健康、自然への健康、健康しがということを提唱される知事ですので、ぜひよろしくお願いいたします。終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、17番山本正議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時19分 休憩    ────────────────   午後1時20分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、13番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)最初に、コロナ禍での国スポ・障スポ準備の簡素化について、全て知事に質問をいたします。  これまで何度もこの場で取り上げてきましたが、既に国民スポーツ大会は本来の意義を失い、マスコミも国民も国スポに無関心になり、国民的支持がないイベントに変質しています。加えて、今日の新型コロナ危機はこれまでの社会の在り方の根本的見直しを迫っています。未曽有のコロナ感染の拡大で県民の命や生活が脅かされ、事業者の廃業や非正規労働者の失業が広がり、新型コロナ危機への対応は県政の最重要課題となっています。  滋賀県と同じように準備を進めてきた三重県では国体の開催が中止となりました。国体の開催中止、返上は初めてで、これを機に国体の見直しを行ったらどうかという声が各地で上がっています。三重県知事は10月11日の日本経済新聞で、今後の国体の在り方について、「複数の県で一緒になって一つの大会を開催するブロック大会も一つのやり方」と述べ、そして、県民の声として、「国体と県民との間に距離が出ている、税金を使うなら中止してもらったほうがいい」という声もあったとし、県民の感情にも理解を示したと報道しています。国体についてのこのような経緯、しかもコロナ禍において、当然のことながら滋賀県でも国民スポーツ大会開催に取り組む姿勢の見直しが必要だと私は考えます。  「地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本とする」としている地方自治法の観点から見て、コロナ禍にあって、国スポ・障スポの意義をどう考えているのか、知事に答弁をお願いします。 ○議長(富田博明) 13番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  昨日までは北京での冬季五輪が開催されておりました。多くの感動をいただきました。また、昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックでの大橋悠依選手や木村敬一選手をはじめとする本県ゆかりの選手の皆さんの活躍も、コロナ禍でありましても、多くの人々に勇気や感動を与えたところであり、私自身、スポーツが持つ力とそのすばらしさを改めて実感しております。  令和7年開催の国スポ・障スポにつきましても、障害のあるなしに関わらず、誰もがスポーツを通じて輝き、県民の皆さんと夢や感動を共有できる大会にしたいと考えております。国スポ・障スポ開催は、県民がスポーツに親しむ環境づくりや障害への理解促進、全国への滋賀の魅力発信のほか、地域経済の活性化にもつながるなど様々な効果があると考えており、コロナ禍を踏まえた簡素化、効率化も検討しながら着実に準備を進めてまいりたいと存じます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)コロナ禍にあって、三重で国体が中止になった、そういうことも含めて、やっぱりこういう時期の国体の意義については今まで以上に厳密に検討する必要があるというふうに私は思うんですけども。  では、続いて伺いますけども、以前に、滋賀開催の国スポで総合優勝を目指すのかと質問したときに、知事は「目指します」と答えられました。開催県に有利な仕組みによって、ふだんは全都道府県の中で下位にある県が優勝することに、スポーツとしてのどんな価値があるのか疑問です。コロナ禍において、巨費を投じて国スポ・障スポを開催する県が総合優勝することにどのような意義があるとお考えになっているのか、お尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 滋賀国スポでの総合優勝、天皇杯獲得を目指す取組は、本県の代表選手の成長を見守ることや、大会での活躍を応援し、感動を分かち合うことを通じ、県民の皆さんのスポーツ熱を高め、県民の一体感や連帯感を生み出すことにつながると認識しております。あわせまして、総合優勝に向けた競技力向上の過程において選手や指導者といった人材が育ち、本県のアスリートの育成やスポーツ振興、健康しがの実現に関わってもらうことができるという意味におきましても大きな意義があると考えております。
    ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)そういう意義が困難な下で、やっぱりしっかりと見直す必要があると。総合優勝するために、競技力を向上させるために莫大な費用を注ぎ込んでやっていくと。そういう県政がいいのかどうかということが、今、問われていると思います。  知事は先ほどスポーツのすばらしさというのをおっしゃいましたけど、私がこの国体の問題をここで取り上げるのは6回目なんですけど、ほとんど、簡素化とか既存施設の活用とかいう点に重点を置いて取り上げてきました。先日、15日に彦根の会場を視察に行きました。わざわざ事務室から職員さんが来ていただいて、丁寧に案内していただきました。非常に壮大なすばらしい施設であって、僅か10日間ほどの国スポのために200億円以上をかけてこんなにすばらしい会場を造る必要があるのかと、また、その後の維持管理が大変でないかなという印象を持ったんですけども、既存施設の活用という国体の精神から見ても非常に投資をし過ぎであるという実感を持ったんですけど、私自身はスポーツそのもの、あるいは国体について否定するものではありませんし、その一層の発展を。  3日ほど前に長浜市のスポーツ協会から私のところへ1通の通知が来まして、2021年度の長浜市の最優秀選手に推薦するから表彰しますというふうに通知が来ました。私は思い当たるところがなかったんですけど、よくよく考えてみると、去年の5月27日に長浜ドームで第76回国民体育大会の選手選考のグラウンドゴルフ大会がありまして、そこで優勝しておりました。ということで、三重県で国体が開催されていたら、私はひょっとして出場をして、滋賀県を代表して、貢献をできたというふうなこともあろうかと思うんですけど、そういうことで、スポーツそのものについては非常に重要な問題で、地域のスポーツの発展に県が全力を注ぐということは非常に大事だということを指摘をしていきたいと思います。  そこで、次に人員体制についてお伺いいたしますけども、国スポ・障スポ局を設置し、人員体制の強化を図ろうとされていますが、開催までの人員体制の計画はどのようなものか、お尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) お尋ねいただきました人員体制の整備についてでございますが、先催県におきましても、開催年に向けまして段階的に増員が行われており、開催年には開催準備と選手強化を合わせまして100人から120人程度の体制で臨まれていると承知をしております。本県におきましても先催県と同程度の体制が必要となってくると認識しており、具体の規模につきましては年度ごとの業務量を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)最終的に100人から120人にするとおっしゃったんですけど、今、国スポの関係の職員は何人おられて、来年度、19人増やすと聞いているんですけど、どういうふうに2025年までに増やされるのか、具体的に現在の状況から教えてください。 ◎知事(三日月大造) 現在、37名の規模でございます。それを来年度はプラス19名、御提案をさせていただいておるところでございまして、おおむね、開催年、令和7年に先ほど申し上げたような数字を想定しておりますが、業務の量や状況等を勘案しながら検討し、また、必要ならばお諮りをしていきたいというふうに考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)では、来年度19人増やして、その後、60人くらいを増やされるという理解でよろしいですか。 ◎知事(三日月大造) おおむねそういう規模を想定していますけど、先催県も見ながら、必ずしもそれで固めなければいけないかというと、そうでもないと思っておりますので、そこは柔軟に見直していきたいと思っています。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)この問題でも、先ほど紹介しましたように地方自治の原点というのは住民の福祉の増進にあります。この原点に立ち返って、コロナ禍にあって、国スポ・障スポの予算や人員を削減し、準備の簡素化を図って、それを保健所の拡充や、公衆衛生や医療などの体制強化に回すべきだと私は考えますが、知事の見解を求めます。 ◎知事(三日月大造) まず、現状でも国スポ・障スポ担当の職員も保健所の応援等、みんな行っております。また、本県の国スポ・障スポにつきましては滋賀の未来に負担を残さない大会としたいと考えておりまして、開催準備の簡素化はとても重要だと認識しております。  そこで、開・閉会式の簡素化や競技用具の他県との共同利用を検討いたしますとともに、一層の事務の効率化等を推進いたしまして、限られた財源や人員の中で最大の効果が得られるよう準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)簡素化に取り組んでいただきたいと思います。  また、保健所の拡充については後で節木議員が取り上げられると思いますので、よろしくお願いします。  次に、高校生1人1台端末の公費負担について再び質問をいたします。  滋賀県教育委員会が来春に県立高校へ入学する高校生の保護者に授業で使うタブレット端末を自己負担で購入するよう求めていることについて、昨年12月17日、保護者や教職員らでつくる県立高校1人1台タブレット端末の公費導入をすすめる会は「5万円から10万円を出せない家庭もある。多くの保護者が自己負担を知らなかった」などとして公費負担を求める6,760筆の署名を県教育委員会に提出されました。その後、同会は本年1月31日に記者会見を行い、署名数は同日時点で1万215人に上がっていると報告し、新型コロナウイルス禍で明日が見えない中で家計にとっては大変大きな負担と強調し、学校現場での活用に向けた準備も整っていないと指摘、「何にどう使うかはっきりしない」「教員の負担増を想定していない」といった保護者や教員の声を紹介し、方針撤回を、再度、要望されました。そして、2月7日には累計1万1,660筆の署名を県教委に提出され、貸出し端末を使うことで困窮世帯だと知られることや、貸出しを認めてもらうために苦しい家庭状況をさらけ出さないといけない状況が生まれるとし、「これだけ多くの声があります。誰一人取り残さないために自己負担の撤回を」と求められました。  こうした県民の声、願いを知事はどう受け止めておられるのか、質問をいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  高等学校では令和4年度から新しい学習指導要領が実施され、主体的、対話的で深い学びの実現を目指すために1人1台端末の環境が必要であると考えているところでございます。生徒の皆さんにはタブレット端末を個人の持ち物として授業や部活動等で活用いただくとともに、学校以外でも、自身の判断で主体的に利用していただきたいと考えております。  県立高校のタブレット端末の公費負担を求める署名の提出があったことは教育委員会からも聞いており、そのような声があることは受け止めたいと存じます。また、県民への十分な周知ができていないというお声に対しましては、2月中に中学校へ改めてお知らせする準備を進めているということでございますし、ホームページ等の活用も含め、保護者の皆様に御理解、御協力いただけるよう丁寧に説明してまいりたいと教育委員会から聞いております。  保護者の皆様には一定の御負担をおかけすることになりますが、購入いただいたタブレット端末等が有効に活用されるよう、教員の指導力向上も含め、しっかりと学習環境を整えてまいる所存でございまして、御理解を賜れればと私も考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)聞いているのは、この1万1,000人からの声をどう受け止めているかということなんですけど、方針を決めるときに、やっぱり全額県費で負担するほうがよかったとか、あるいは、こういう声がかなりあるからもう一回検討する必要があるんではないかなというふうな受け止めとか、そういう受け止めというのはなかったんですか。 ◎知事(三日月大造) やはり小さくない出費ですので、こういったお声があること、また、こういったお声がたくさん寄せられることというのは真摯に受け止めねばならないと思いました。ただ一方で、高校での学びをより充実させていくための対応ということも必要でありますので、それぞれ1人1台、御準備いただくということをお願いしようとしております。ただ、なかなかそれが厳しい御家庭や生徒の皆様方に対しては、配慮、支援等もしっかりと整えた上で実施をしていこうということを考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)7月に3選を目指して出馬されるという表明をされましたけども、やっぱりこういう県民の声というのをしっかりと受け止めて県政に生かしていただきたいというふうに私は思います。  そこで、低所得者の負担軽減のために貸出しタブレットの整備とタブレット購入のための奨学資金を設置するとされていますが、その要件などの詳細を知事にお尋ねいたします。 ◎知事(三日月大造) 教育委員会によりますと、タブレット端末の貸出しや奨学資金の貸与はいずれもお困りの御家庭の生徒に対する支援であり、タブレット端末の貸出しは、住民税の所得割が非課税の世帯に対し貸し出すことを予定しており、3学年分の見込者数を基に3,103台の貸出し用端末を準備しているとのことでございます。また、タブレット端末の購入のための奨学資金につきましては、本定例会議において改正条例案を御審議いただいておりますが、既存の滋賀県奨学資金の貸与要件に基づき、端末等の購入費相当額といたしまして最大15万円を無利子で貸与し、卒業後、最長10年間で返還いただくことを予定しているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)どちらも住民税の所得税非課税世帯が対象という理解でよろしいですか。 ○議長(富田博明) このまましばらく休憩いたします。議員はそのままお待ちください。   午後1時40分 休憩    ────────────────   午後1時41分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ◎知事(三日月大造) 失礼いたしました。  まず、現物、端末の貸与につきましては、御指摘のとおり、住民税の非課税の世帯でございます。また、もう1つの、購入資金の貸与につきましては条件が異なっておりまして、前年の世帯の収入の年額が一定額以下、具体的に申し上げると、生活保護基準の1.7倍以下であること等ということになっております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)いろいろ、保護者や県民の声があるから、こういう貸出し端末の整備とか奨学資金の新たな設置というのをされたんですけども、去年の12月、先ほどおっしゃられた貸出し用タブレットを3,103台、約1億3,000万円の取得がここでも議決をされました。これは1学年約1,000台、3年間分だということですので、あと6,000台余りを購入すれば今春入学する高校生分を全部そろえることができると。同じ12月の議会では県立高校のトイレ整備事業で約1億3,900万円の減額補正を行っています。これは全額、コロナの臨時交付金です。こういう予算だけでも3,000台以上の端末を購入することができます。  今後、来年度予算で奨学資金貸付金の端末購入資金の予算も組みますけども、これらの予算を併せて活用すれば、署名に託された皆さんの願い、来春入学の高校生に1人1台タブレット端末を公費で負担することは十分可能であると思うんですけども、知事の見解を求めます。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  高等学校における教材につきましては、原則、保護者負担でお願いしておりまして、タブレット端末につきましても同様に御負担をお願いするものでございます。  御指摘の交付金は新型コロナウイルス感染症に対応するための措置に活用するものであり、本県といたしましては感染症対策に必要な事業を判断して活用しているところでございまして、タブレット端末を交付金で購入する予定は持っておりません。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)貸出し用端末は交付金を使っているんではないですか。 ○議長(富田博明) しばらく休憩します。   午後1時44分 休憩    ────────────────   午後1時45分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ◎知事(三日月大造) 失礼いたしました。  今お尋ねの貸出しのほうはGIGAスクール構想の補助金を活用して手当てをしているということでございますので、今お尋ねの新型コロナウイルス感染症の交付金というものは充当していないということでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)そこで、昨年の12月27日付の文科省初等中等教育局長通達では「高等学校段階における端末の整備については、学校設置者が公費で端末を調達する取組や端末の持込みを進めようとする取組等、多様な実態がありますが、その財源については、一般財源とともに令和3年度補正予算(第1号)に計上された新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充分を活用することが可能となっています」として、「各学校設置者におかれましては関係部局と緊密に連携し、保護者や地域等の十分な理解を得ながら高等学校段階における端末の整備について万全を期するようお願いします」としています。さらに、公費で端末を調達する場合に限らず、保護者への負担軽減策を講じる場合等においても同交付金の活用が可能としています。これは去年の12月27日ですから、暮れも押し詰まって、滋賀県が貸出し用端末をこれだけ準備して、こういうふうにいくと決めた後でこういう文科省の通達が来ているんですよ。これは、国がGIGAスクール構想を進め、高校での1人1台タブレット端末を整備する上で、財政的にも県も大変だから、この臨時交付金を使って整備をしてくださいというのが文科省から出された通知だと思うんですよ。この立場に立ったら、今、1万1,000人からの公費での整備を求める声に応えて、この臨時交付金の拡充分を活用して、全部一括して県が調達するということをやることができるのではないかということを私は言っているんですけども、いかがですか。 ◎知事(三日月大造) 国のやり方もどうかと思いますね。それぞれの都道府県の判断なり、高校生の学びというものをそれぞれ主体的に考えながら、それぞれの都道府県がどのように実施するかということだと思います。  ただ、今おっしゃったように、そういうものも選択肢にして対応を考えていくべきではないかという議員の御指摘はしっかりと受け止めたいと思いますし、そういったものも含めて考え合わせた上で、県としては、学校で使うだけではなくて、それぞれ自身の持ち物として活用し、学校以外でも学びを深めてもらう、広げてもらう、こういうことに生かしていくほうがそれぞれ生徒の将来のためにもなるというふうに考えて、今回、そういう措置を取らせていただいているところでございます。  ただ、繰り返しになりますが、とはいえ、一時的な出費等、また家庭、世帯の御事情等で厳しい生徒や世帯に対してはしっかりとできる限りの支援をやろうということで対応してまいりたいと考えておりますし、やはり公費負担というのは後々の更新の費用等も発生してまいりますので、そういったこと等を総合的に勘案をして、今回の対応方針をつくらせていただいているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)国の考えがいかがなものかいうことで批判をされましたけど、私も今の国のやり方にはいろんな面で批判もありますけど、この問題に限って言うと、全国で、来年4月からの高校生のタブレット整備に対していろんな保護者や住民の声が出されていると。そういう状況を文科省も把握して、今、2月4日の発表では24府県5政令市にまで公費で負担する自治体が広がっていると、こういう実態になっているんですよ。だから、こういう署名も出されて県民の願いが出されている、こういうことを酌んで公費負担が広がっている、こういう現状をしっかりと認識する必要があると思うんですよ。だから、私は、この問題に限っては滋賀県よりも国の言っていることのほうが国民の願いにしっかり沿うような形で進めているということを指摘しておきたいと思います。  最後に、この公費負担の問題なんですけども、本来、GIGAスクール構想を掲げて、コロナで前倒しで国が進めました。これに基づいて高校生1人1台端末の導入も県が主導してやろうとしているわけだから、公費負担を原則にすべきだと私は考えています。  今、教育改革・ICT推進対策特別委員会は学校教育の情報化の推進に関する条例を制定しようとしています。その条文の中には、財政上の措置として「県は、学校教育の情報化の推進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする」としています。私は、教員の自由や個人情報の保護などが保障されていない性急なICT推進には賛同できませんが、条例を定めようとしている最初から県の財政上の措置を棚上げしていることは道理が通らないというふうに思います。今、全国でこのように公費負担が過半数の都道府県に広がってきた、こういう状況の下で、やっぱり自費負担の方針を撤回して、あと6,000台余りを公費負担で実現するということが大事だと思うんですけども、再度、知事の見解を求めます。 ◎知事(三日月大造) 議員も御紹介いただいた、全国のそれぞれの都道府県、政令指定都市の方針は御紹介のとおりだと思います。また、本県も、議員のお考えに沿わないかもしれませんけれども、必要な財政上の措置は棚上げなどせずにしっかりと行っているところでございますので、そういったことも御理解いただければと思います。  やはり大きく言って、学校教育の情報化を推進することは時代の要請でもありますし、これからの社会を生きる滋賀の子供たちにとって生きる力を育成するために必要なものであると認識しております。  学校教育の情報化を進めるに当たり、今、県として取り組むことは保護者に対する周知、タブレット端末が有効に活用される学習環境の整備、教員の指導力向上に向けた研修等の実施であると考えております。それぞれに御準備いただくタブレット端末を活用して、高校生の深くて広い学びにつながるよう、これらの取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)なかなか強固な信念を持っておられるので変わらないと思いますけども、やっぱりしっかりと県民の声を聞いていくということを大事にしてほしいというふうに思います。  それでは最後に、ネオニコチノイド系農薬等の環境と子供への影響について質問をいたします。  本来、これが今回の質問のメインだったんですけど、既に山本議員がしっかりと取り上げておられますので、私、12項目通告しておりまして、山本議員の質問とほとんどかぶっております。だから、関連質問的な質問になるかも分かりませんけど、よろしくお願いいたします。  この問題は、最近、広くテレビや国会でも取り上げられて県民の関心も高まっており、私のところへも何人もの方から、このネオニコチノイド系農薬について本会議で取り上げるべきだという声をいただいております。そこで取り上げるわけなんですけども、本来、農薬というのは農の薬と書きますけども、その本質は昆虫などの生命を殺す殺傷剤です。この半世紀余りに世界で使われるようになった化学農薬の歴史は、多量に使用してはその毒性が明らかとなり、また新しい農薬を開発するということの繰り返しでした。DDTなどの有機塩素系農薬は、魚類の大量死などで、その残留性や生物濃縮性が高く、毒性が強いことから、残留性有機汚染物質として多くの国で禁止をされました。続いて主流になったのが有機リン系農薬ですが、パラチオンは有明海でアミ類やエビ類の大量死をもたらし、中毒者や死者を出しました。以後、農民の健康被害や自殺が多数報告され、農作物への残留も問題となりました。有機リン系殺虫剤は日本では今でも多量に使用されていますが、多くの国で禁止をされています。そのような経緯で、現在、世界的に広く使用されるようになったのがネオニコチノイド系殺虫剤です。ちょっと言いにくいので、以下はネオニコと言います。  有機リン系と比べて人体や哺乳類、鳥類などへの安全性が高い一方で昆虫に対する毒性が強いとされていますが、水溶性であるため植物に吸収され、根から葉先まで浸透することや、環境中の残留期間が長いことから散布回数を減らすことができることが長所とされてきました。しかし、ネオニコは害虫だけでなくミツバチなどの益虫までも減らしてしまい、世界で蜂群崩壊症候群の多発の原因とされ、大きな問題となってきました。水溶性であるため、トンボの幼虫やタガメなども減少させます。また、食物連鎖を通じて鳥類や魚類の減少につながっていることも明らかとなってきました。  さらに重大な問題は、ネオニコの特徴である浸透性、残効性、神経毒性によって人体への影響、とりわけ子供の発達に重大な影響をもたらしていることが強く警告されるようになっています。  以下、12項目、質問を用意してきたんですけど、大概終わっていますので、先ほどの答弁に関連して、農政水産部長は滋賀県内で使われているネオニコチノイド系農薬が年間6トンというふうにおっしゃられました。これは成分量であって、実際の製品としては何トン使われているんですか、答弁を求めます。 ○議長(富田博明) このまましばらく休憩します。   午後1時57分 休憩    ────────────────   午後1時58分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)大変失礼をいたしました。  成分量で6トンというふうに申しました。その成分量といいますのは、農薬の中にあるネオニコチノイドの本来の成分の量ということでありますが、実際の販売をされております農薬にはそれ以外のいろんな成分が含まれて販売されております。ちょっと今、手元に数字を持ち合わせていないということでございまして、大変申し訳ございません。成分量としては6トンということでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)普通、6トンと聞くと、その農薬が、例えばクロチアニジンとか、そういうネオニコ系の成分が含まれている製品としてどれだけ使われているかというふうに一般の人は理解すると思うんですよ。実際に農薬要覧をインターネットで調べますと、今、全国で年間に農薬出荷量というのは約18万トンから19万トン、日本農薬工業会のホームページに出ていますけども、このぐらい使われているわけです。だから、そういう製品ベースでどれだけかというのをやっぱり明らかにするということは必要だというふうに思います。  そこで、先ほどの質問の中では琵琶湖の動物や植物への影響というのはあまり確認されていないというお話がありました。これは、調べていないから分からないわけです。しかし、実際には、私は漁業に従事しているんですけども、今、北湖で、かつては大量に繁茂していた親水性の水草がほとんど皆無と言っていいぐらいなくなりました。今、北湖で見られる水草は水面に漂うヒシ類、これがほとんどになっております。漁師の多くの人は、やっぱり水田等で使われる除草剤が琵琶湖へ流れ込んで、あれほどたくさんあった水草、オオカナダモとかコカナダモとか、こういうものがなくなっていったということを指摘されています。  また、最近、非常にたくさん使われている、道路にまかれる塩化カルシウム、これも植物を枯らす成分ですので、これも琵琶湖に大量に流れ込んで影響をもたらしているというふうに多くの漁師さんが言っておられます。  そこで、琵琶湖の魚に影響があるかどうかというのは分からないんですけど、(資料掲示)この資料を見ていただきたいんですけど、この左側は、先ほど山本議員が紹介された山室真澄教授の「魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う」という本の中に出ております宍道湖におけるヤマトシジミとエビ類の漁獲量の比較なんですけど、ヤマトシジミは1993年以降、減っていると。ところが、エビ類は1993年を境に極端に減っていると。これに合わせるように、右のほうの表は私が水産課からデータをいただいて作ったグラフなんですけども、やっぱり琵琶湖でもセタシジミは徐々に減っていっていると。ところが、エビ類については1993年を境に極端に減っているという状況が出ています。これがネオニコのせいだというふうには私は言えないと思います。とりわけ琵琶湖では、この時期にブラックバスやブルーギルの外来魚がたくさん増えました。これがエビ類の減少に大きく影響していると思いますけども、山室教授が言っておられるのは、昆虫に影響があるネオニコは節足動物あるいはエビ類など、こういうのに一番効き目があるということで、エビ類の減少に非常に大きな影響をもたらしているということを指摘されています。  問題なのは、先ほど琵琶湖環境部長も答弁されていましたけど、調査をしていないと、その必要がないというふうな答弁をされましたけども、これだけ、アメリカの科学誌「Science」にこの論文が採用され、全国でトンボやタガメが減っているというふうな状況が生まれていて、こういう琵琶湖で抱える滋賀県がこの問題についてしっかりとした調査研究を継続的にやらない、その必要性がないというようなことは非常に問題があるというふうに思うんですけども、琵琶湖環境部長に答弁を求めます。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)お答えいたします。  先ほど申し上げましたが、ネオニコチノイド農薬の環境への影響というのは、いろいろ研究をされて検討もされておりますが、環境省でも検討会を設けて検討されていたんですが、その因果関係というのは明らかではないとなっております。  それで、私が申し上げましたのは、例えば水質の測定とか、その調査を項目を定めて測る、そういうことにつきましては、やはり相当の因果関係などについて確実なものをもってする必要がありますので、まだそういう調査は行う必要はないというようなことで申し上げました。  ただ、先ほども申し上げましたように、この農薬の環境影響についての知見はまだ十分ではありませんので、それは県としてもいろんな国内外の情報を把握して、それは情報把握に努めていきたいと思っております。そういう意味では、そういうことはしっかりとやっていきたいと思います。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)因果関係が分からないからしっかり調査をする必要があると。分かっていたら調査する必要ないんですよ。しっかりと調査していただきたいと思います。  埼玉県ではやっているんですよ、実際に。そういう県があるのに、琵琶湖を抱える滋賀県が、これだけ有毒な状況というのが報告されているのに調査もしないというようなことではいけないと思います。これについては最後に知事にお尋ねします。  次に、ネオニコの食品の検査はどのように行われているのか、健康医療福祉部長に質問します。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。  食品衛生法に基づきまして県で定めました滋賀県食品衛生監視指導計画によりまして、県内で生産販売されている野菜、果実を対象に残留農薬検査を行っているところでございます。  ネオニコチノイド系農薬につきましては、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアクロプリド、チアメトキサムの5種類の検査をしているとこでございます。今年度は1月末現在、65検体を検査しておりまして、残留基準値を超過したものはございません。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)米は検査されていないんですか。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  これらの検査につきましては、主に道の駅あるいはJAの直売所、こういったところで販売されている野菜や果実を調査しております。米につきましてはJA等で生産管理されておりますので調査を行っておりません。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)先ほども山本議員が指摘されましたけれども、日本の単位面積当たりの農薬使用量は世界で1位、2位をいっています。国の農薬残留基準が安全とは言い切れないというところに問題があります。  (資料掲示)これは最初のなんですけど、この7つのネオニコ農薬のうち、EUではイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、これは屋外で使用禁止になっております。それからアセタミプリド、これは日本で開発された農薬ですけども、規制が強化され、一番下のチアクロプリドは承認取下げというふうになっておりまして、それから、アセタミプリドの残留農薬基準値、これは2016年9月現在のものなんですけども、EUと比べて日本はブドウが10倍、イチゴが60倍、茶葉は600倍、こんなにも基準が緩いんですよ。しかもこの残留基準の検査では、神経毒性とか、神経系の構造や機能に対する有害な影響とか、複合毒性、異なる成分の組合せによって有害レベルが上がる、こういう問題については十分調べられていないと。この国の残留基準での検査で県民の健康が守れるかどうか、健康医療福祉部長にお尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  この基準でございますけれども、内閣府食品安全委員会におきまして、食品健康影響評価において安全性が確認されたものでございますので、これによって安全性が担保されているものと思っております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)先ほども紹介されましたけど、この資料を見てほしいんですけども、農地の単位面積当たりの農薬使用量に比例して、自閉症、広汎性発達障害の有病率が日本、韓国は非常に高いというデータが出ております。それから、下のグラフは、特別支援が必要な生徒数が1993年以降、かなり増えているという状況が出ております。それから、神経難病の推移も、1990年代の初めからパーキンソン病とか、あるいは重症筋無力症など、こういう難病が非常に増えていると。これと農薬の関係を指摘される論文が多数出ております。  とりわけ子供に影響が強い、こういうことが言われておりまして、ネオニコは神経伝達物資であるアセチルコリンの受容体に偽のアセチルコリンとして働きかけて神経毒性を発揮すると。このアセチルコリンというのは生命共通の生理物質であって、人間だけでなしに全ての生物がこれを利用していると。だから、昆虫にだけ、害虫にだけ影響があって、人や魚類や鳥類に影響のない農薬というのは作れないということが指摘をされております。  これだけ大きな健康への被害が、今、問題になってきて、EUでは、予防原則の立場から、何十年後に被害が出て分かったのでは遅いから今から禁止をしようということでこういう制限を設けている。これは当たり前のことだと思うんですけども、こういう立場で、やっぱりこのネオニコの問題について、滋賀県もしっかりと規制強化、あるいは県民に啓発をしていく必要があると思うんですけども、知事の見解を求めます。 ◎知事(三日月大造) 現在使用されている農薬、こちらは、農薬取締法に基づき国が審査し、登録されているものであり、適正使用をされている限りにおいて安全性が認められているものであります。また、農作物の安定生産、省力化を進める上で必要なものであると考えており、県独自の規制は考えておりません。  その一方で、殺虫剤は害虫以外の昆虫等にも少なからず影響を及ぼすものでありますので、ネオニコチノイド系農薬のみにかかわらず、適正使用に努め、過剰な農薬を散布しないよう啓発しているところでございます。  今後は農業のグリーン化に向けて環境こだわり農業やオーガニック農業への取組を一層進め、農薬の使用量がさらに削減できるよう取り組んでまいりたいと思いますし、るる御指摘いただいた琵琶湖への影響、漁獲への影響、また生態系への影響、海外の知見等も出されているようでございますので、情報収集に努め、県としてどういうことが必要なのか考えてまいりたいというふうに存じます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)何度も「子ども、子ども、子ども」、子どもの健康ということを言われているんだから、これだけアレルギーとか発達障害とか鬱病とか、こういうのが子供の中に広がっている、その一つの原因としてネオニコが指摘されているということがありますので、ぜひ、しっかりと情報収集して取組を強めていただきたいと。
     前、知事がいい書物を紹介してくれとおっしゃっていたので、この木村-黒田純子氏が「地球を脅かす化学物質」という本を出されております。非常に詳しく科学的に解明をされていますので、ぜひ参考にしていただいて、予防原則の立場で滋賀県の取組を強めていただきたいということをお願いして、質問を終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、13番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。  次に、36番木沢成人議員の発言を許します。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、地学、地球科学、アース・サイエンスとも言いますが、その教育の充実について、高等学校での充実強化を求め、一問一答方式で伺ってまいります。途中、指示するまでは教育長にお伺いをいたします。  目下、新型コロナウイルス感染症の収束が全世界的課題となっているところでありますが、私たちの身の回りにある危機が感染症だけでないことは論をまちません。新型コロナウイルス感染症に係る情報が報道を席巻する中で、あまり目立たないニュースとなりましたが、去る1月22日には大分県と宮崎県で、地震の規模を示すマグニチュードが6.6、震度5強を観測する地震が発生をいたしました。その震源は沖合の日向灘であったため、気象庁において南海トラフ地震発生への影響を評価するための検討会が今月7日に開催をされました。幸い、地震の規模からプレート境界への影響は小さいと考えられるとの評価結果が公表されたところですが、関係者の間では、一時、緊張が走ったところであります。  くだんの南海トラフ地震は、記録が残る以降、これまでおおむね100年周期での発生が確認されており、最新である昭和東南海地震、昭和南海地震の発生からは、現在、約80年が経過をしております。その前に発生しました江戸末期の安政東海地震、安政南海地震の発生と昭和期の発生間隔が約90年、そして、昭和期には当該地震エリアの最東部部分である東海地震が発生していないことから、令和期の南海トラフ地震は近い将来での発生が確実視をされているところであります。  一方、世界に目を向けますと、異常気象の発生や、それに伴う気象災害の激甚化、海面上昇による島嶼国の水没など、地球温暖化に起因する気候変動に係る地球規模の諸課題が顕在化して以降、長らく議論が重ねられてきたところであり、国や、午前中も質疑がありましたし、この後の一般質問でも取り上げられる予定の、本県が進めるCO2ネットゼロ社会づくりに代表されますように、地方自治体においても課題解決に向けた取組についての動きが加速をしている状況であります。  こうした背景の下、まず、理科教科において地学科目を学ぶ今日的意義についてお伺いをいたします。 ○議長(富田博明) 36番木沢成人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  教科、理科におきましては、自然の事物や現象に主体的に関わり、科学的に探求するために必要な資質や能力を身につけることを目指しております。  地学の分野におきましては、地震や台風などの気象災害が起こる仕組みや、海面上昇や海流と気候の関係などについて科学的に考察をしております。また、自然の事物や現象を総合的に扱うため、日常生活や社会の問題とも密接に結びついており、本県のCO2ネットゼロ社会づくりと関連している内容があります。このような学びを通しまして、高校生が宇宙や地球、地球を取り巻く環境について主体的、科学的に探求する態度を育成することにその意義があると考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)現状、地学科目を学ぶ生徒は相対的に少ないと思いますが、まず、基礎科目である地学基礎の県立高校における開設状況につきまして、ほかの3科目である物理基礎、化学基礎、生物基礎の開設状況との比較の上、お答えをお願いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えします。  令和3年度に地学基礎を開講している学校数は県立高等学校51校中33校でございます。また、物理基礎は48校、化学基礎は50校、生物基礎は51校で開講しております。地学基礎を開設している学校の割合は62.7%でございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)相対的に見て、少ないということが明らかなんですけども。  普通科を擁する高校の多くでは、大学進学等に対応して2年次以降に文系と理系の選択を設けているところが多いように思います。このうち理系における地学基礎の開設状況についてお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えします。  文系、理系の選択をしております普通科を擁する県立高等学校は28校ございますが、この28校のうち、文理を問わず全ての生徒を対象に地学基礎を開設している県立高校は4校でございます。それ以外の24校のうち19校につきましては文系で地学基礎を開設しておりますが、理系におきましては地学基礎を開設はしておりません。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)今、地学基礎の開設状況についてお伺いをしたんですけれども、この基礎科目の履修後に、より広範かつ深い学びの専門科目である物理、化学、生物、地学を履修するということが現行の学習指導要領の特徴となっております。このうち専門科目としての地学の開設状況につきまして、こちらも物理、化学、生物の開設状況と比較の上、お答えをお願いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  県立高等学校51校中、地学を開講している学校は4校でございます。  なお、物理は36校、化学は35校、生物は36校で開講をしております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)今のお答えにもありましたように、3番目、4番目の質問の答えで明らかになっていると思うんですが、特に理系におきまして、地学基礎および地学が履修されていないということが明らかなんですけども、その理由について、どこにあると考えられるのかお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  理系の生徒は大学や専門学校などへの進学を希望する生徒が多く、多くの大学が受験科目として物理、化学、生物分野を課しておりますことから、地学基礎および地学の履修が少なくなっていると考えられます。また、大学等で地球科学や地球物理学を学ぶ場合においては、その基礎として、高校で物理や化学を履修していることが求められていることもその理由の一つであると考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)午前中の山本議員や今の杉本議員の質問をお伺いしていますと、確かに化学と生物というのが非常に大事だなというのは思うんですけれども、もともとやはり物理、化学、生物、地学というこの4科目を設定されたときに、冒頭も教育長がおっしゃいましたように、それぞれにやはり学ぶ意義というのがしっかりあって、そこは高校の基礎教養として大事だということで、もちろん科目が設定されているわけであって、これが単なる、高校自体がいわゆる大学の受験予備校というふうになってはいけないと私は思っている、その思いの中で質問させていただいています。  おっしゃるように大学側の、例えば上級の学校に行くときに要求側がそういう科目を要求しているというところも1つ問題だと思うんですけども、明らかにほかの3科目に対して履修の状況であったりが劣っているというような状況なので、ここは改善していただきたいという思いで質問していますので、この後もよろしくお願いいたします。  それでは、6番目の質問なんですが、地学専門教員の採用状況につきまして、おおむね40年間の推移を含めてお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをします。  高等学校理科の教員採用試験におきまして地学の試験科目で採用した教員は、過去40年間の実績では、少し古くなりますが、昭和56年度1名、昭和58年度1名、昭和59年度は5名、そして、平成28年度1名の合計8名でございます。  今年度は6年ぶりに地学を試験科目とする採用試験を実施いたしましたが、採用には至りませんでした。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)大体40年前ぐらいに数名採用されて、しばらくずっとブランクがあって、平成28年にまた採用はあったんですけれども、その間がずっと採用がないという状況なんですけれども。  それでは、そういう状況の中で、7番目の質問なんですが、地学の専門教員の現況につきまして、他の科目との比較の上でお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  現在、高等学校における理科教員は224名おられますけれども、化学や生物など他の試験科目で採用した者も含めまして、現在、12名の地学を専門分野とする教員が在籍をしております。  なお、他の科目を専門とする教員の人数は、物理が49名、化学が77名、生物が86名となっているところでございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)採用が、先ほどお聞きしました40年間の推移がそういうことの中で、その結果として見たときに、ほかの物理、化学、生物の専門教員の方はそこそこいらっしゃる中で、かなり人数が限定されているということだと思うんですが、学校によりましては長期間にわたり地学専門教員の配置がなく、そのことにより地学科目の開設に至っていないということも今の数字を見ていると想像されるんですけれども、そもそもの、先ほどもちょっと申しましたけれども、教育の目的であったりとか高等学校で何を学ぶかというところに照らし合わせたときに、このことは、私、大変問題なのかなというふうに思います。この点につきまして見解をお伺いいたしたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) お答えします。  理科の教員は、地学や、また物理といったそれぞれの専門分野の科目だけでなく、それ以外の科目の授業も担当をしていただいているところでありますが、地学も含め、どの科目につきましても専門性を有する教員を一定数配置することが望ましいと認識をいたしております。  また、各高等学校におけます教育課程の編成につきましては、決められた授業時間の中で、学校が育てたい生徒像や生徒の進路希望などを踏まえまして開講科目を設定しているところでありまして、今後とも学びたい生徒が学ぶことができる科目の設定に努めてまいりたいと考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)生徒が学びたい科目の設定ということを、今、御答弁いただいたんですけども、例えば、先ほどもちょっと申し上げましたけど、1年次から2年次、2年次から3年次というところの中で科目の選択ができて、結果として、物理であったりとか化学であったりとか生物であったりとか、そういう選択ができるのならまだいいかなと思うんですけれども、学校によっては、1年次の入学時点で既に理科の選択の余地がないと。申し上げたとおり、地学がなくて、3年間で学ぶ理科科目については物理、化学、生物というふうに限定されているような高校があるんですよ、実際。それが、先ほども出ていた、全体が六十何%ということなんで、4割ぐらいのところにそういうことがあるんですけれども、そうすると、その時点で学びの方向性が限定されてしまうというのは問題かなと思いますし、例えば上級の学校でもう少し学びたいという思いをいつ思うかということの中で、やはり学校の授業の中で学びを深めていく中で、この分野は面白いなとか、ここをもっと深めていきたいなという思いが出てきて進路の選択というものにつながっていくと思うんですね。そうすると、そこの選択というものがないということはちょっと問題かなと思いますので、その辺、再度、御所見があったらお伺いをしたいんですけれども。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  高校生のときに地球環境問題でありますとか、あるいは自然災害などが起こる仕組み、こういったことを学ぶことは、私、非常に重要だと認識をいたしております。しかしながら、一方で、生徒の進路希望でありますとか授業時間などの制約も踏まえまして、各高等学校において教育課程を編成していただいておりますけれども、開講できる教科、科目が限られておりますことから、地学分野の科目が設けられていないという現状がございます。  地学分野の科目が開設されていない学校におきましても、例えば総合的な探求の時間での学びなどにおきまして、ハザードマップでありますとか地球温暖化などについて学ぶことにより災害や環境問題など今日的課題を主体的に探求する態度の育成は、一定、図れると考えておりますので、こうした取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)滋賀県の自然環境で最大の特徴というたら、1つ、先ほども議論がありましたけれども、琵琶湖が挙げられますし、例えば県内最高峰の伊吹山、これは百名山の一つにも数えられておりますけれども、伊吹山なんていうのは、日本全国を見たときに、有数の石灰岩質地形ということでその特徴を有しているわけなんですけども、それがどうしてああいう形で出来上がったのかというあたりも含めて、やっぱりそういうところの地域の自然、自然史というものを学ぶということが地域への愛着であったりとか、滋賀県をより深く学んで、今申し上げた愛着であったりとか地域との結びつきを深くするものかなというふうに思うんですけども。  例えば伊吹山の麓の伊吹高校の教育課程なんですけども、伊吹高校は体育のコースがあるんですが、体育のコースのところは1年次に科学と人間生活という、物化生地それぞれ4科目を、それほど深くではないんですけれども満遍なく学ぶという科目を選択することができるんですけれども、残りのコースでいくと、生物基礎、物理基礎を1年生で学んで、2年で化学基礎を取るということなんですが、例えばここで3年生になったときに、文系は生物のほうをそのまま取れるんですけども、理系については物理か生物か化学かということで、ある意味、全く地学を勉強しないままです。伊吹山を毎日仰ぎ見るような学校でもそういう状況にもなっていたりします。豊かな自然の植生であったりとか、名水でも有名なんですけども、そういったことが全て地学の基礎教養の中に学びとして入っているにもかかわらず、地元の高校でも学ぶ機会がなかったりします。  もう1つ、虎姫高校さん、バカロレアの関係で私は何度も学校のほうも訪問させていただいているんですけども、例えば虎姫高校あたりでも、カリキュラムを見ていますと地学を学ぶという機会が現行だと全く教育課程の中にありません。その一方で、IBの中では環境システムと社会ということを学ぶって、これはまさに地球環境問題であったりとか、冒頭申し上げた、そういう様々な環境と人間に関わることを学ぶんですけども、これを学ぶための基礎科目というか基礎教養が教えられていないという現状もあったりします。ですので、やっぱりちょっとその辺は専門教員の数とも大いに関連していると思いますので、この点をしっかり充実させていただきたいなという思いで質問しておりますので、また、一番最後の質問で、教育長にはまとめ的に聞きたいと思います。  専門教員の配置のない学校ではもともと物理、化学、生物を専門とする教員が地学を教えているという現状があるかと思います。やはりその専門性によって授業内容、充実度は異なってくると容易に想像されるところですが、専門外の教員への地学の教育研修の現状についてお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  理科教員は理科の教員免許を有しておりまして、物理、化学、生物、地学、いずれの分野においても授業を行うことができます。免許を取得する過程で各分野の基礎的なことを学んでいるわけでございますが、全ての分野を専門的に深く学んでいるわけではございません。地学分野におきましては、特に専門外の教員が授業を行うこともあるために、教材研究でありますとか研修をすることで授業のさらなる充実を図る必要があると考えております。  地学分野の授業力向上に係る教員研修につきましては、県の総合教育センターにおきまして講座の開設や研究発表により研究の推進と研修の充実を図っているところでございます。また、理科教員による地学研究部会におきましても情報交換や実地研修などの研修、研究を行っていただいているところでございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)今、研修についてお答えをいただいたんですけれども、地学教育の充実のためには、専門教員の採用はもとより、専門外の教員への研修、勉強会等のさらなる充実が必要と考えるところですが、御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  充実した授業とするためには、まず、教員がその科目の深い知識を持っていることが必要でございます。理科教員が各科目の専門性を高め、生徒の学ぶ意欲を高める授業を実践するために、県の総合教育センターでの研修の機会をさらに充実をいたしますとともに、今後は、デジタル教材の有効な活用を進めることで、さらなる授業の質の向上を図ってまいる所存でございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)この質問をするに当たりまして、高等学校理科「地学基礎」「地学」開設率の都道府県ごとの違いとその要因という論文、これは早稲田大学教育学部地球科学教室の吉田先生と同総合科学学術院の高木先生が執筆されておりまして、同じように全国の都道府県の開設状況であったり教員の採用状況というのを全部まとめていただいているんですけれども、その中で沖縄県、それから千葉県が、採用の人数もそうですし、先ほど申し上げた開設率というところではトップを走られているんですね。なぜそうなったかという考察をこの吉田先生なり高木先生がされているんですけれども、大昔に物理、化学、生物、地学という4つの理科の高校の科目が指導要領で設定されたときに、やはりこの4つに差があってはならないと、どれも等しく学ぶ必要があるし、その価値があるという理念の下に、教育委員会、それからその周辺の関係者を挙げてしっかりと教員を養成していこうということをずっと行ってこられて、その結果が、今申し上げた開設率であったりとか教員の数に反映されているということなので、この辺はやっぱりそこの都道府県それぞれの考え方が大きく影響してきているところでありますので、やはり琵琶湖を抱え、その周りの自然環境というのが全国の都道府県の中でも特徴的であって、これだけの環境を有している本県でありますから、そこの未来を担う子供たちが基礎教養としてしっかりそういうものを身につけた上で、冒頭申し上げたような課題に取り組んでいただくということが大事かと思いますので、その辺をしっかりと受け止めていただきたいなと思います。  それでは、11番目の質問なんですが、学習指導要領にも記されておりますように、大学、研究機関、博物館等の専門機関を活用した学びは生徒の学びを深めるだけではなく、専門外の教員の資質向上にも資するものと考えます。本県の地学教育におけるこうした専門機関の活用状況についてお伺いいたします。 ○議長(富田博明) 答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  県内の一部の高等学校ではございますが、高校生が防災に関する科学技術に興味、関心を持つことができますように、京都大学の防災研究所におきまして構造物の耐震診断等を行うことができる実験施設の見学を行ったり、また、最先端科学分野の知見を得るために、JAXA宇宙科学研究所から講師を迎え、宇宙開発に係る講演をしていただいたりしているところでございます。また、高校生が地元滋賀の環境を考える契機とするために、琵琶湖環境科学研究センターや琵琶湖博物館における研修や実習を行いまして、例えば琵琶湖の全層循環についての模擬実験でありますとか、琵琶湖の保全に向けた課題解決のための取組について研修を深めていただいた学校もございます。  しかしながら、こういった大学や専門機関の活用は通常の授業時間以外にとどまっているのが現状でございます。今後は、多くの高校生がこのような学びの機会を得られるよう、こうした大学や研究機関などと連携した学びをどのように工夫したら進められるか、しっかりと研究をしてまいりたいと考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)今御紹介いただいた学校は、大体SSHの設置校だと思います。京大の防災研との研究においてもそうだと思いますし。  やはりSSH──スーパーサイエンスハイスクール設置校はそれだけちょっと深い学びをされていますし、私もいろいろ調べたときに、例えば米原高校は理数科がありますので、理数科の理数地学はどういうことを教えられているかなということを、シラバス等が出ていましたので見ましたら、フィールドワークなんかも結構あちこち行かれたりとか、かなり突っ込んだ学びをされているんですけども、やはりそういうことができるのも、そこにしっかりとした先生がついているなり、SSHの特徴というものがあって初めて今の状況になっているかと思いますので、その辺が、普通のほかの高校でどれぐらい学びが深められているかというとなかなか、先ほど申し上げている専門教員がいらっしゃらない上に、そういうことをさらにやろうかと思うとなかなかできないのかなということがあるかと思います。  その一方で、これから知事部局、各関連部局に伺っていくんですけれども、知事部局においては、それぞれ冒頭の質問に関連した、密接な関連のある様々な施策を行っていただいていますので、そういったところの機関なり部局との連携が大事になってくるかなと思い、次から伺ってまいります。  今申し上げたとおり、ここから視点を変え、知事部局の各関連部局に伺ってまいります。  地学の科目におきましては、プレートの運動に伴う地震や、大気や海水の運動に伴う降雨等の気象現象等を取り扱い、かつそれらと付随した自然災害についても取り扱っていることから、防災対策や防災教育とも大変関連が深い科目と言えます。防災行政を推し進める立場から、高等学校における地学教育充実の意義について知事公室長に所見をお伺いいたします。 ◎知事公室長(東勝) (登壇)お答えいたします。  日本は、その位置や地形、気象などの自然条件から地震や台風、豪雨等の災害が発生しやすく、国民一人一人が災害のリスクを認識し、備えることが大変重要な課題と認識をしております。  そうした中で、高等学校の地学教育におきましては、日本の自然環境を理解し、それらがもたらす恩恵や災害など、自然環境と人間生活との関わりについて認識することが求められております。自然災害発生のメカニズムなどの基礎知識に加えまして、具体的な災害事例やハザードマップなどに基づきます防災・減災の取組を考察することなどを通じまして、より実践に即した学びを深めることは、生徒自身の災害対応力の向上に加えまして、地域防災活動や災害ボランティアなど、地域社会の一員として安全で安心な社会づくりに貢献いただくことにもつながっていくものであり、防災教育として大変意義深いものと考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)地学基礎の科目の中では、まさに自然災害ということをきっちり学ぶ章が設けられておりますので、そういうところとの連携が非常に大事だということで伺っているんですけれども、県が示す各種の災害予測等の資料や、今も言及いただきましたけれども、ハザードマップの理解促進など、より実践的な学びを深めるという意味において、県の防災行政と高等学校の地学教育における一層の連携が必要と考えます。このことにつきまして知事公室長の所見をお伺いいたします。 ◎知事公室長(東勝) お答えいたします。  県では水害や土砂災害、地震などのハザードマップや活断層図、被害想定などをホームページ等に掲載をいたしまして、県民誰もが自宅や学校周辺などの身近な災害リスクを調べたり学ぶことができるようにしているところでございます。  学校教育との連携におきましても、学校への出前講座や危機管理センターでの防災講座の実施、マイ・タイムライン作成ツールなどの防災教材の提供などを行っているところでございます。  また、今年度からは出前講座をより活用してもらえますように学校支援メニューにも追加いたしましたほか、県内の各地域で防災活動に取り組んでおられる方にも地域防災アドバイザーになっていただき、学校などで講演していただくことにも取り組んでいるところでございます。今後も引き続き、地学教育などで活用できる資料の提供ですとか、防災教育を支援する人材のさらなる確保、育成などを通じまして、より実践的な学びが深められますよう、高等学校のほうとも連携をして、防災教育のより一層の充実、強化を図ってまいりたいと考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)冒頭、南海トラフ地震について言及しましたけれども、滋賀県におきましては琵琶湖西岸断層滞の地震というものが危惧をされているところなんですけれども、大津市の葛川の、現在の梅ノ木町辺りになるんですけれども、安曇川沿いのところになりますけども、これが寛文2年──1662年の近江・若狭地震という、まさに今の西岸断層が動いたときに大きな地震が起きまして、そのときに町居崩れという大規模な土砂災害が発生して、当時の村が丸ごと1つ埋まっているんですね。例えばこのような事例も、数研出版さんから出されている「地学基礎」という教科書があるんですけども、自然災害を学ぶところになると、コラムとして大きく、この町居崩れについて言及をされているんですね。先ほど申し上げたように、全ての生徒が学んでいるわけではない地学なんですけども、例えば大津市内の高校であったりとか高島市内の高校の生徒さんが地学基礎を学んでいて、その中に、今申し上げた教科書でたまたま町居崩れなんていう言及があったときに、やっぱり感度が違ってくると思うんですね、我が事として考えるという意味で。  現在、阪神・淡路大震災からもう27年たちまして、東日本大震災につきましても今度の3月で11年になるわけですよ。被災地の方というのは、小さい幼児でも当時の記憶があるかと思いますが、滋賀県あたりの今の中学生というのは東日本大震災でさえ、もちろんその知識としては持っていても、そういう実感がないわけですよ。ですから、ほんの30年とか10年ぐらい前のことでもどんどん、ある意味、忘れられてしまいますし、その一方で危機というのはどんどん、逆に、地球の活動からすると高まっている状況なんですね。そういうときにしっかり学ぶということがやっぱり大事になってくると思うんで、ですから、知事部局と教育委員会のほうでしっかりと連携をして、新指導要領も生きる力を育む、ということになっていますんで、そういうことを、またしっかりと連携をお願いしたいと思います。  次の質問なんですが、今定例会にはCO2ネットゼロ社会づくりの推進に関する条例案、以下、条例案と言いますが、提出されておりますが、くだんの地球温暖化その他の気候変動に係る諸課題に対する理解を深めるためにはその基本となる知識の習得が欠かせません。高等学校における地学教育はまさにその一助となるものであり、古生物の変遷と地球環境についての学びを深めた上で、現代における地球の熱収支等について学ぶことが基礎教養として大変重要だと考えます。  CO2ネットゼロ社会づくりを推進する立場から、高等学校における地学教育充実の意義について総合企画部長の所見をお伺いいたします。 ◎総合企画部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  高等学校での地学の学びを通じて地球環境の変化を見いだし、その仕組みや人間生活との関わりについて認識をしていくということは、地球温暖化や気候変動への理解を深めるための基礎教養として大変重要であると考えております。加えまして、高等学校教育におきましては、昨年8月、学習指導要領解説の一部が改定されまして、地学基礎において、「脱炭素社会の実現に向けた地球温暖化対策など人間生活がもたらす地球環境の変化の対応の状況について触れることも考えられる」との内容が明記をされております。こうしましたことから、高等学校における地学教育の充実は、未来を担う高校生が気候変動の危機的な状況について学び、また、県民一人一人がCO2ネットゼロ社会の実現に向けて取組の当事者であることを認識するきっかけとして大変意義あるものであると認識をいたしております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)温暖化の問題を学ぶときに、今申し上げたように、基本としての地学の知識が大事ということなんですけども、46億年という長い地球年代の中においては、氷期、もっと寒かった時代というのがありますし、例えば恐竜が生きていた時代、白亜紀とかジュラ紀とかいう時代ですと、現状より地球のCO2の濃度がもっと高くて暖かかったというふうにも言われています。ですから、本当の地球年代の中での気候変動の繰り返しというものを、どういうメカニズムでそれが起こって、そのときの環境がどうだったかということの基礎の上に立って、まさに今、我々が対峙しているその課題にどう向き合うかということが大事なので、ほんの産業革命以降という短時間の時間軸ではなくて、今申し上げたような、非常にスケールの大きい話ではありますけれども、そういう時間軸の中でどう地球と対峙するかということをしっかり学んでもらうことが必要ですので、そういう視点を、県のほうからも投げかけるときにはしっかりと注意をしていただきたいなと思います。  条例案では、第6条で県民の責務を定め、CO2ネットゼロ社会づくりに対しての取組を自主的かつ積極的に行うように努めるとともに、県の実施する施策に協力するよう求めており、また、第14条では各種教育機関と連携したCO2ネットゼロ社会づくり人材の育成を掲げております。こうした取組を進めるためには、この条例案や県の計画、施策についての理解促進が必要であり、そのためには高等学校の地学教育との連携も必要と考えますが、総合企画部長の所見をお伺いいたします。 ◎総合企画部長(川崎辰己) お答えいたします。  本定例会議に提出をいたしております条例案および現在策定中の計画案におきまして、CO2ネットゼロ社会づくりに係る環境学習を推進するとともに、人材の育成を行うということとしております。特にこれからの社会を担う若者の意識と行動が重要でありますことから、高校生や大学生が参画する次世代ワークショップの開催や学校などへの出前講座など、高校生がCO2ネットゼロを自ら学び、取り組む機会の提供に努めているところでございます。また、来年度は、新たに総合教育センターと連携いたしまして、高等学校を含む学校の教職員が条例や計画などについて学び、教育活動において継続的に取り組むための研修を実施することといたしております。  こうした様々な取組を通じましてCO2ネットゼロ社会づくりを担う人材の育成を図りますとともに、地学教育も含めて、高等学校との連携を強化してまいりたいと思っております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)それでは、次の質問に移ります。  琵琶湖を擁する本県では、その環境保全に対する様々な取組を実施するとともに、幼少期からの様々な環境学習に取り組んでいるわけですけれども、そもそもの琵琶湖とその周辺環境の成り立ち、全層循環をはじめ琵琶湖をめぐる様々な自然現象を理解するためには高等学校での地学学習が欠かせないと思います。高等学校での地学教育の充実強化について、環境行政を所管する琵琶湖環境部長としての所見をお伺いいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)お答えいたします。  議員御指摘のとおり、次代を担う高校生に琵琶湖の成り立ちや全層循環などの自然現象について学んでいただくことは意義深く、環境という視点からも大切なことと認識しております。  本県が作成しております琵琶湖ハンドブックや環境白書であります滋賀の環境には琵琶湖の地形や歴史、全層循環についても記載するなど、様々な資料を作成しておりますほか、今年度は、びわ湖の日連続講座におきまして、琵琶湖博物館長が琵琶湖の成り立ちや地層など地学的な要素を取り入れた講義を行ったところでございます。  環境は地学とも密接な関わりがあると考えておりまして、学校現場で活用を図られるに当たりましては、教育委員会とも連携してまいりたいと存じます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)先ほど地震について触れたんですけども、琵琶湖がどうして出来ているかというときに、西岸断層帯が断層活動を起こして、そのときに琵琶湖の底が、滋賀県でいくと西側の底がどんどん下がっていって、片方で、今、比良山系、今日も雪をいただいて大変きれいなんですけども、そっちが上がっていって山になっているという大きな構造があるわけですね。見た目としては、非常に山もきれいだし、琵琶湖もきれいなんですけども、その裏に地震があり、その地震の大本ということでいくと、フィリピン海のプレートがずっと動いてきてユーラシアプレートとぶつかり合うという大きな地球の動きの中で滋賀県が形づくられているわけなので、そういうことの部分の基本的なところをやっぱりしっかりと発信していただいた中で、環境学習というものの深みを、努めていただきたいなというふうに思います。  今も述べたんですけれども、地学教育の実施におきまして、学習指導要領では大学、研究機関、博物館等の専門機関を活用した学びが求められているところであります。本県は琵琶湖誕生や地史について知見を有する琵琶湖博物館や琵琶湖環境科学センターなど、そうした学びに資する専門機関を擁しており、専門知識を擁した職員を抱えているところであります。生徒の学びを深め、また県の施策や研究成果への理解を深めていただく意味でも地学教育との一層の連携が必要と考えますが、琵琶湖環境部長の御所見をお伺いいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  琵琶湖博物館ではこれまでから、校外学習として博物館に来館いただき、体験学習を実施したり、県教育委員会などと連携して教育指導者への環境に関する研修を実施しているところでございます。また、琵琶湖環境科学研究センターでは、試験研究の取組や成果を研究成果報告会や、センター内外での講習や講演を実施する一環として、高校からの依頼により、琵琶湖の水草やセンターの調査分析についての講習を行っているところでございます。今後もこうした取組を、教育委員会や学校現場のニーズも踏まえ、琵琶湖の成り立ちや全層循環などの視点も意識しながら、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと存じます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)琵琶湖博物館には古琵琶湖層群の形成であったりとか琵琶湖の成り立ちについて非常にすばらしい知見をお持ちの研究員もいらっしゃるんで、そういった方も活用いただけたらと思います。どちらかというと、午前中も出ていましたけど、化学とか生物分野に関して琵琶湖との関係を学ぶという機会は多いんですけど、地学関係の分野においての学びとかその連携というのが今までほとんどできていないように思いますんで、それはしっかりと進めていただきたいと思います。  最後に、以上の議論を踏まえて教育長に、再度、お伺いをいたします。  混迷の時代を迎える中、新学習指導要領が掲げる生きる力を育むためには、自身の周りの自然環境により深い好奇心を持って接し、社会生活とその関わりについてもより実践的に学ぶことが必要と考えます。県をはじめ各種関連機関などと連携し、また、ICT技術も活用した地学教育の充実強化について御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  これからの高等学校の学びにおきまして、各種関係機関との連携、ICT技術の活用は非常に重要な視点であると考えております。滋賀の高校生が滋賀をフィールドに学ぶ、そして、滋賀で学ぶためには県内の関係機関や大学等の専門機関との連携を図り、地域に根差したテーマについて学ぶ機会をつくるなど、生徒の実践的な学びを進めることが重要であると考えております。また、その際には遠隔授業などの活用にも取り組んでまいりたいと考えております。
     滋賀や琵琶湖を高校生が深く学んでいくためにも地学教育は大切であり、今後、地学を専門とする教員の採用や理科教員の専門性を高めるための研修などに努めてまいる所存でございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)グローバル人材という言葉もよく聞かれたりするんですけども、まさにそのグローバルな人材のグローバルのところ、グローブから来ているわけですけども、地球的視野に立ってという部分をこれだけ言われるような時代になった中では、やっぱり地球科学についての学びというのは非常に大切だと思いますんで、その点、しっかりと進めていただきたいと思うんですけども、冒頭から伺っている中で、教育環境としては教員の方が少なかったりとか科目が開設されていないという状況もありますんで、教育課程のその辺の編成においては校長先生の裁量というか権限も強いというふうにお伺いしていますんで、一回、本日のこの議論なんかも共有いただきたいと思うんですけど、例えば校長会みたいなところで。その辺の今申し上げたようなところ、実施いただけるかどうかというのを最後にお伺いしたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) 今、議員御指摘のありましたように、各学校はそれぞれの学校の特色を出すために、校長先生をはじめ各教員がどういう教育課程を編成していくのがその学校の高校生にとって一番いいのか考えながらやっていただいていると思います。ただ、やはりバランスのとれた知識というものも必要だろうと思いますので、その辺につきましては、また高校の管理職の先生方と私もしっかりと議論をしながら取組を進めてまいる所存でございます。 ◆36番(木沢成人議員) 終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、36番木沢成人議員の質問を終了いたします。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時10分 休憩    ────────────────   午後3時30分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、2番本田秀樹議員の発言を許します。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、質問をさせていただきます。  まず、市町や事業者等と連携したDXの推進について、知事ならび関係部長にお伺いをいたします。  去る2月16日の代表質問におきまして、我が会派は県行政におけるデジタルトランスフォーメーションの推進についてお伺いをいたしました。知事には、デジタルトランスフォーメーション──DXを進めることにより本県をどのような社会にしていこうとしているのか、また、県行政のDXの実現に向けて具体的にどのようなことに取り組もうとしているのか、さらには、本県のDX推進にかける決意をお聞きしたところであります。知事からは、今年度に策定する滋賀県DX推進戦略の下で、市町や企業と連携し、地域のデジタル化や県庁舎内の業務のデジタル化を進め、県民の暮らしを健康でより豊かにする、地域社会の持続的発展につながる新たな価値を創造することや、変革を先取りし、あらゆる分野においてDXのチャレンジを進め、活力にあふれた滋賀を目指してまいりたいとの御答弁をいただいたところであります。私は、この御答弁を受けて、県内の市町や事業者等との連携の下、各分野で進めるDXについてもう少し詳しくお聞きしてまいりますので、よろしくお願いをいたします。  最初に、行政事務手続のデジタル化についてお伺いをいたします。  今回のコロナ禍において、行政からの支援金や給付金の申請手続がデジタル化に十分対応しておらず、給付に至るまでに多くの日数がかかっていることはこれまで幾度となく報道されてきましたが、議員各位も地元の住民、事業者のほうからそうした声を多数お聞きになられたと思います。また、県や市町で行う届出や各種の行政手続は、このコロナ禍にあってもまだまだ役所に行くのが当たり前という状況であります。しかしながら、こうしたデジタル化対応への遅れという状況がいよいよ、今後大きく変わっていくのだという話も聞いております。  まずは自治体の行政手続のオンライン化についてであります。これは、子育て関係や介護関係など31の手続について、特に国民の利便性向上に資する手続として、マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続ができるようにするというものと理解をしております。スマートフォンやタブレット、パソコンなどから24時間いつでも、また自宅やオフィス、遠隔地など、どこからでも手続が行えるというものですので、住民の利便性の向上はもちろん、行政としても申請内容の自動チェックや窓口の混雑緩和などのメリットがあるとされております。  そこで、県および県内市町における、この自治体の行政手続のオンライン化の現在の進捗状況について知事にお伺いをいたします。 ○議長(富田博明) 2番本田秀樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  国のデジタル・ガバメント実行計画におきまして、特に国民の利便性向上に資する手続とされております31手続のうち県が所管いたします4手続、自動車税環境性能割の申告納付と自動車税の賦課徴収に関する事項の申告または報告、自動車税住所変更届、自動車の保管場所証明の申請、この4つにつきましては全てオンライン化できております。また、市町につきましては、総務省による令和2年度末時点の取組状況調査によりますと、県内11市町においてオンライン化に着手されており、うち4市町が10以上の手続をオンライン化されていらっしゃると、こういう状況でございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)それでは、今後の見通しについて知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 現在策定中の滋賀県DX推進戦略におきましては、各種手続がオンライン・ワンストップで完結する県民本位のサービスの実現を目指しており、デジタルで県に申請できる手続の数を、先ほどの4手続を含みます令和2年度末時点の380手続から令和6年度末までに約2,300手続に拡大してまいりたいと考えております。  市町におきましては、国が示した自治体DX推進計画に基づきまして、令和4年度末までに子育て支援等、先ほどの31手続がオンライン化されていくと承知をしております。これらオンライン化に伴いまして、マイナンバーカードやキャッシュレスサービスとの連携も進展していくものと認識しております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)この手続を利用するにはマイナンバーカードの取得が前提になると理解をしております。これまでから本県のマイナンバーカードの交付枚数率は全国で上位にあると聞いておりますが、最新の交付枚数率と全国順位を知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 本県におけるマイナンバーカードの交付枚数率および全国順位についてでございますが、令和4年2月1日現在で人口に対する交付枚数率は45.5%であり、全国第4位となっているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  全国4位と、順位は大変高いということで、これまでの県と市町の取組の成果であると思いますが、交付枚数率は45.5%と、まだ半数以上の方が持っておられないということになります。その背景には、多くの県民の、マイナンバーカードを取得しても利便性が低いという認識などがあるのではないかと推測されますが、デジタル化のメリットを存分に受けていただくためにもマイナンバーカードの普及を一層進めていく必要があると考えます。  国は、令和4年度末までにマイナンバーカードがほぼ全国民に行き渡ることを目指すとしておりますが、この国の方針を受け、県としてさらなる利便性の向上を図り、より一層、普及を促進していくために、市町とともにどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 普及促進につきましては、これまでから市町に対して適正、円滑な交付事務や先進事例に係る情報提供や助言等の支援を行いますとともに、民間企業や各市町との共催により、県内の商業施設等においてマイナンバーカードの出張申請サポートイベントなどを開催してきたところでございます。また、現在、ワクチン接種会場における申請サポートの実施を県内各市町に呼びかけているところでございます。  利便性の向上について、現在は健康保険証としての利用や確定申告への活用ができ、今後、運転免許証としての利用に加えて、スマートフォン搭載によりカードの持ち運びが不要となるなど、ますますその利便性の向上に期待が持てると考えております。  今後、より一層の普及促進に向けまして、申請サポートの開催に加えまして、こうした利便性のPRに係る取組というものが非常に重要であると認識しておりまして、各市町における状況も考慮しながら、引き続き、県としても積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)また、デジタル化を進めていく上で、年齢、性別、地理的な制約等にもかかわらず、誰でもデジタルの恩恵を受けられることが重要であると考えます。このため、国は来年度、全国に1万規模でデジタル推進委員の制度を、地方公共団体との連携の下、スタートさせる計画であると聞いております。誰一人取り残されないための取組について、本県としてどのような対応や活用を考えておられるのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 高齢者をはじめといたしますデジタルに不慣れな方など、誰一人取り残さない取組を国、市町、企業等と連携して推進してまいります。具体的には、今年度から国のデジタル活用支援推進事業を活用いたしましたスマホ教室等の情報を県地域情報化推進会議で市町、企業と共有し、横展開を図っておりますほか、来年度からはスマホやデジタルサービスの利用に詳しい方に地域でのデジタル活用の普及に関わってもらえるよう、講習、交流会等の開催を予定しているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)次に、自治体の情報システムの標準化、共通化についてお伺いをいたします。  これは地方自治体で行う児童手当や住民記録、税、介護保険など20の業務について地方公共団体情報システムの標準化に関する法律に基づき、システムを統一、標準化し、システムの利用コストの軽減や自治体内外のデータ連携を容易にしようとするものであると理解をしております。  令和7年度までに国が定める標準準拠システムへの円滑な移行を目指すとされており、県内全ての市町において、現在進めておられる標準化対象事務への対応が必要となりますが、中でも組織規模が小さく、専門的人材の確保が難しい県内6町については、先ほどの自治体の行政手続のオンライン化としても大きな課題になっていると承知をしております。  このため、6町では、滋賀県町村会とともに滋賀県町村会自治体DX戦略会議を設置したところであります。昨年10月に、川崎総合企画部長にも御出席をいただき、愛荘町内で行われ、設立総会では町村会と株式会社滋賀銀行とのアドバイザー協定も締結されたところですが、県からの適時適切な助言や支援も大変重要であると考えます。  先頃発表された新年度の組織編成で新しく設置されるDX推進課により、市町のDX推進とより一層の連携強化が図れるものと期待をしておりますが、今後の市町との連携方策を知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 20の業務の情報システムの標準化、共通化につきましては、この夏をめどに国から示される予定の標準仕様書に基づき、各市町が標準準拠システムの導入を進めることとなります。その際、県といたしましては市町からのシステム導入についての相談に対応するとともに、県内市町でのシステムの共同調達、共同利用が可能か検討を行い、実施するとの結論を得た場合には、仕様書の作成などにおいて市町との調整を図りつつ、その業務負荷の軽減に努めてまいりたいと考えております。  また、システム標準化に当たり、市町が関連システムの改修等に経費を要する場合は、必要な支援をいただけるよう国に要望しているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)仄聞するところでは、広島県では来年度、デジタル技術に精通した外部人材を市町に派遣する取組を始める方針であると聞いております。本県においても、市町からこうした専門人材に係るニーズに何らかの形で対応できないかと考えますが、知事に所見をお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  昨年5月、滋賀県DX官民協創サロンを設置いたしまして市町のDXの取組を支援しているところでございますが、来年度は取組をさらに充実させ、新たに専門的な民間デジタル人材を設置できるよう、予算案に必要な経費を計上させていただいているところです。  市町からの相談に応じて、そのデジタル人材を市町に派遣し、DXの取組の企画、立案への助言ですとか具体的な取組に対する技術的支援等を行い、さらなる支援ニーズに応えていきたいと考えております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)次に、自治体のデジタル化推進とともに、県内中小企業のDX推進も大切な視点と考えますので、この点をお伺いしたいと思います。  現在策定中の滋賀県DX推進戦略の案におきましても、2024年度末までの取組として、県内中小企業に対しデジタル技術の導入を促進することで、業務効率化やコスト削減などの生産性向上だけでなく、新たな製品、サービスの創造、開発につなげるとの記述があります。既に今年度の県のコロナ禍対策事業である新型コロナウイルス感染症対策経営力強化支援事業(通常枠)においてDXに関する事業も補助対象として進められてきておりますが、本事業において、県が期待したような取組はどの程度行われているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) (登壇)お答えします。  新型コロナウイルス感染症対策経営力強化支援事業(通常枠)では合計で3,922件の申請があり、このうちDXに関する取組は562件で全体の約14%を占めております。例えばデジタル化の推進に向けたパソコンやタブレット端末等の環境整備をはじめ、販売管理システムの導入による経理業務の効率化、ECサイトの構築による新たな販路開拓や自動車学校での学科教習のオンライン授業化などに取り組まれたところでございます。  補助上限額50万円という限られた予算の中でも、コロナ禍の難局を乗り越えるため、また、コロナ後を見据え、業務の変革につながる様々な工夫を凝らした取組が実施されたところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ただいまの御答弁によると、県内中小企業のDX推進については、この事業においては県が期待した成果が上げられつつとのことで喜ばしい状況でありますが、次年度以降はさらなる展開をどのように考えておられるのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  先ほどお答え申し上げましたように、県の事業におきまして様々な取組が進められているところでございますが、本県が昨年実施した調査では、県内事業者320社のうち約7割がDXに取り組んでいないと回答されておりまして、DXへの理解不足やデジタル人材の不足が課題として挙げられているところでございます。  こうした中、県では、経営トップ自らが変革を主導することが重要という認識の下、県内企業の経営層などを対象に、自社の強みを分析してDX戦略を検討いただくなど、DXによるビジネスモデルづくりの支援を行っているところでございます。また、プロフェッショナル人材戦略拠点やDX官民連携協創サロンを活用した専門家のサポートや、地域の事業者の身近な支援機関であります商工会、商工会議所職員のDX活用支援スキル向上を図る講習や実習、あるいは製造現場での生産性向上や低コスト化につながるAI、IoTの活用のための取組支援や導入相談、セミナーの実施などによりまして、ソフト、ハードの両面から幅広い分野での取組を後押しをし、県内企業のDXを推進してまいりたいと考えております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)多くの課題があると思いますが、しっかりと取組をしていただきたいと思います。  次に、農業分野のDXについてお伺いをいたします。  本県においても農業の担い手不足は深刻であります。今は辛うじて集落営農が保たれている地域においても、オペレーターの高齢化に伴い、この先、どこまで維持ができるだろうかとの不安の声をお聞きをいたします。  先進地ではロボットトラクターやラジコン草刈り機、ドローン等を活用した、いわゆるスマート農業により経営の効率化や労働時間の短縮、女性や学生アルバイトなど担い手の多様化等に成功されていると聞いております。一方で、スマート農業機械の導入コストに課題があるとも伺っております。  スマート農業については、本年11月に県が策定された滋賀県農業・水産業基本計画において、コロナ禍を経て重点的に進める施策の一つともされておりますが、今後、具体的にどのように推進していこうとされるのか、農業者への支援策も含め、農政水産部長にお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)お答えいたします。  スマート農業の推進は、これまで農業者が知る、試す段階の取組として、民間企業等と連携した実演会の開催等を行ってまいりました。今後は実装の段階として、これは普及指導員が中心となって、民間の団体や企業とも連携をし、スマート農業技術を活用したモデル的な農業者や産地を育成し、県全体への波及を進めてまいりたく存じます。  また、実際にスマート農業に必要な機械や施設を導入される場合には、国の産地競争力の強化対策事業やスマート農林水産業の全国展開に向けた導入支援事業を活用して支援してまいります。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)農業者への支援策も含め、しっかりと取組をしていただきたいと思います。  最後に、デジタル地域コミュニティ通貨の導入についてお伺いをいたします。  本通貨を活用することで県民のSDGsの活動参加を促したり、地域経済の活性、良好な地域コミュニティー形成などが期待できます。現在、コロナ禍で落ち込む経済対策のため、コミュニティ通貨を導入する自治体が増えております。地域を活性化するには様々な要因が必要であります。DX戦略にデジタル地域コミュニティ通貨、(仮称)びわコインの導入について記載されていますが、県民や滋賀県に関わってくださっている皆さんに広く流通させるには高いハードルがあるのではないかと思います。コミュニティ通貨のメリット、デメリットをどのように分析されているのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お尋ねいただきましたデジタル地域コミュニティ通貨は、一般的な地域通貨のように、現金の代わりに決済に使うものではなく、例えばイベントやボランティア活動に参加することでためたコインで地域の祭りや酒造りに特別に参加できるなど、滋賀に関心のある方に地域を巡っていただき、にぎわいを生み出す仕組みとして導入するものでございます。  まず、メリットといたしましては、地域の特色あるスポットにおける通貨のやり取りを通じまして新たな交流を促すとともに、多様なにぎわいづくりの事例をデータとして見える化し、地域課題の解決につなげることが可能になるのではないかと考えております。  一方、課題といたしましては、一般的な地域通貨とは異なる仕組みでありますことから、利用者に通貨の使い方や魅力を理解してもらう必要があることや、地域においてデジタル技術を使いこなす人づくりが求められるということが挙げられるのではないかと考えております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  どのような戦術で成功に導こうとされているのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 戦術という言葉に当てはまるかどうか、ちょっと分からないんですけど、コロナ禍における都市部から地方への流れを好機と捉えまして、通貨の導入に併せてデジタルプラットフォームを導入することで、全国の地方に関心を寄せる方々を、本県に誘引したいと考えているところでございます。その上で、官と民がそれぞれのネットワークを活用しながら、全国の人から共感を得られる体験価値を通貨のコンテンツとして提供することで、本県を訪れる人と地域の新たな出会いの場をつくり出していきたいと考えております。また、デジタル人材を育成するためのエリアコーディネーターを配置いたしまして、地域が主体的に魅力的なコンテンツを創出できるよう支援を行ってまいります。  これらの取組を通じまして蓄積されたデータや生まれた好事例を官と民が共有いたしまして、通貨が広く浸透するよう、継続的なブラッシュアップを図ってまいりたいと考えております。  県という広域自治体が行う例というのは全国にもあまりないようでございますので、それゆえに広い様々な取組をつなぎ合わせることができるのではないかという、こういうメリットや先進性をしっかり生かしながら取組を広げていきたいと考えているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  DXの推進はといいますと、滋賀の未来を切り開く重要な鍵であります。県内の市町や事業者、そして関係団体との連携なしに進めることはできないものだと考えております。知事のリーダーシップの下、進めていただくことを期待して、この質問の項を終わらせていただきます。  次に、町全域を対象とした農業基盤整備の推進について、全て農政水産部長にお伺いをいたします。  愛荘町において、これまで農作業に従事されてきた農家も年々減少し、高齢化も進行していることから、残念ながら、近年、耕作放棄地が目立つようになりました。これらは圃場が小さく、大型機械による効率的な農作業が難しいことと、後継者や担い手の確保が大きな問題になってきたことが要因の一つとされ、これらを解消し、持続的な農業を可能とするような圃場整備事業が必要だと検討を始められた地域があります。  そこで、改めてになりますが、圃場整備事業の目的についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  圃場整備事業は、農地の区画変更を中心に、用排水路、道路等を総合的に整備いたしますとともに、あわせて、担い手への農地の利用集積や非農用地を含む土地利用の整理を一体的に実施するものでございます。このことによりまして、営農形態に適した農業機械の効率的な利用や合理的な水管理等、生産性の高い圃場に整備することを目的としているものでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)圃場整備をすることにより、農地の区画を大きくすることに併せて水路や農道を整備をされます。このような圃場整備事業の効果についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  圃場整備によります効果は、1つには、区画の拡大等によりまして省力的で生産性の高い農業が実現するということ、2つには、排水条件の改善によりまして野菜等の高収益作物の栽培が可能となり、所得の向上が期待されるということ、3つに、排水路や農道の整備によりまして安心・安全で利便性の高い農村空間が創設されますこと、4つ目に、換地によります土地利用の整序化。整序化といいますのは集積とか再配置とか、そういったようなことであると理解しております。こういった効果がございます。  このように、農業所得の向上等の営農面だけではなく、これ以外の多くの効果が生み出される事業であるというふうに認識をしております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)近年では農業従事者の高齢化も進んでおり、圃場整備を行うことによって水管理が楽になったなど、農作業の省力化が図られております。  圃場整備については様々なメリット、デメリットがあると思いますが、圃場整備事業はどのような流れで進めていくのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  圃場整備事業は、まず、農地の所有者や耕作者といった受益者の皆さん方で意見をまとめていただき、御要望を頂戴するところからスタートいたします。その後、市町や土地改良区が受益者の方々と事業計画を作成され、そして、受益者の同意を得るなどの土地改良法の手続を経ます。その後、整備後の所有者等を定めました換地計画書というものを策定をいたします。その後、工事のための実施設計を行い、区画や用排水路等を整備をし、最終的に土地改良法に基づく換地処分を行うという流れで実施をしているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)今ほど答弁ではハード事業とソフト事業の答弁をいただきましたが、1人での農地だけでは圃場整備を実施することは困難でありますが、土地の所有者や耕作者の方などを含めた地域の皆さんと話し合い、どのエリアで圃場整備を行うのか、圃場整備を行った後の地域の将来像をどのようにするのかなどを検討し、皆さんのまとまった意見をもって事業が進むわけでありますが、一般的に要望から着手までどれだけの時間がかかるのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  その地域の皆さん方の合意形成の程度、状況にもよりますけれども、これまでの実績からいたしますと、順調に進んだ場合で、まず、事業実施区域の決定に1年ないし2年、また、事業計画の策定に2ないし3年、その後、土地改良法の手続に1年、合計で6年程度を要しているものでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)早くて6年程度で事業が着手ができるかなという答弁でありましたので、よろしくお願いいたしたいと思いますが、本県は琵琶湖総合開発により早くから圃場整備事業が進められてきましたが、近年、再び整備が行われていると聞きます。県営事業で実施された圃場整備事業の実績についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  近年の県営圃場整備事業の実績といたしましては、過去5か年で4地区、面積にいたしますと約180ヘクタールで実施をしております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)県営の圃場整備事業の事業費でありますが、10アール当たりどれだけの費用になるのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  費用につきましては、平地や中山間地など地形条件により大きく変わるものでございますけれども、現在実施中の地区では10アール当たりおおむね200万円から300万円となってございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)次に、県営圃場整備事業の負担割合ですが、国および県、市町、農家の負担割合についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。
     本県の県営圃場整備事業の負担割合は、国の負担割合が50%、県の負担割合は、国が示されている地方公共団体の負担割合の指針、いわゆるガイドラインに基づきまして27.5%、市町の負担割合はそれぞれの市町で決定されておりますため、県内では5%から12.5%というふうに幅のある状況でございます。結果的に、農家の負担割合は10%から17.5%となっているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  農業従事者の高齢化や後継者の不足から農地を貸したいという方々も増えておりますが、圃場整備を契機に、農地中間管理機構を介した農地の賃貸借、いわゆる農地の利用集積を促進する動きもあります。圃場整備を契機とした農地の利用集積はどのようなメリット、デメリットがあるのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  利用集積のメリットは、圃場整備事業は将来の地域営農の姿を見据えて事業を実施されることから、農地の利用集積は比較的スムーズに行うことができると思っております。さらに、結果的に集約化ができますれば、農作業機械等の作業の効率化によりまして省力・低コスト化が図られますとともに、CO2の削減も期待されるところでございます。また、集積や集約率に応じて地元負担の軽減措置を受ける、そういった制度もございます。  一方、デメリットでございますが、圃場整備事業の実施区域内で農地の利用集積を図る必要がありますことから、合意形成が難しい場合には圃場整備事業を含めて取り組むことができにくいというケースも考えられます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)農地を集積し、団地化することによって農業の経営規模を拡大し、圃場整備後に生産性のよい農地で効果的な農業をすることができるようになると思います。担い手の方にとっては、農地の集積が進めば、経営規模が大きく生産性のよい農地で営農することによって安定した農業経営をすることができます。  本県における現在の農地の利用集積状況についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  本県の担い手への農地利用集積率は令和3年3月末現在で63.2%でございまして、これは全国第8位でございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)また、県営で昭和49年度から整備をしていただいた用水路や排水路も老朽化が進み、漏水など機能低下が著しいことから、施設の更新対策を至急に実施したい地域もあります。更新整備の概要についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  例えば議員の地元の愛荘町で、老朽化が進む農業水利施設の更新対策を計画的に実施をするため、町内を10地区に分けて、そのうちの2地区、具体的には秦荘1地区、愛知川1地区をモデル地域に設定し、令和5年度の着手を目指して事業計画書等の作成に取り組まれている状況でございます。この主な内容は用水路と排水路の更新整備と圃場の暗渠排水工事であるというふうに承知をしているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)これらの一つ一つは集落を単位とする小規模なものでありますが、これらを拾い上げてみると、今、部長がおっしゃったように、愛荘町全域においては農業基盤整備が必要という状況になってきました。愛荘町としての全地域となる面積が1,000ヘクタールにも及ぶことから、地域の切実な状況や要望に応えていくためには、やはり計画的な事業実施が必要であり、国や県の支援が欠かせません。  そこで、愛荘町におけるこうした事業に対する支援の状況についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  愛荘町では昭和60年以来の圃場整備事業ということになります。そのため、事業実施までの流れや事業要件などにつきまして、町当局への助言や地元説明会に参加するなどの支援を行っているところでございます。特に圃場整備事業では地域における合意形成が何よりも重要でございますことから、どのような範囲でどのような整備を実施するのかなど、農家はもとより土地持ちの非農家の皆さんにもイメージしてもらいやすいよう、構想策定を提案する等のアドバイスを行っているところでございます。  また、施設の更新整備につきましては、ほかの地区での事例の提供や事業要件の確認、あるいは構造的、技術的な課題等の様々な視点から助言を行っているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  我が党の代表質問で農業基盤の再整備の考え方について知事からお答えをいただきましたが、私も、これからの農業基盤整備は農家の所得向上につながる高収益作物の栽培拡大や、営農の省力化や、CO2削減など、環境に配意した整備が必要と考えております。  愛荘町における新時代の農業に向けた農業基盤整備はどのようなことを検討されているのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  まず、圃場整備事業につきましては、環境負荷の低減や省力化につながりますスマート農業や農地の集積・集約化を可能とする圃場の大区画化、また、野菜等の高収益作物栽培の拡大を図ります暗渠排水の整備等を検討されているところでございます。  また、施設の更新整備につきましては、用水路を従来の開水路からパイプライン化し、用水の漏水、漏れを防止いたしますとともに、自動給水栓による水管理のICT化を行うなど、CO2削減にもつながる省力型の整備を予定されているところでございます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)しかしながら、本来、地元が抱える課題等についてアドバイスや、構造などの技術的な指導や助言、さらには最新技術の提供等を担うべき町には残念ながら農業土木技術者がおらず、また、土地改良区においても高齢化が進むなど、業務の執行に向けた組織強化が大きな課題になっていると聞いております。こうした町や土地改良区の農業土木経験者の減少といった状況は、本県、いや、全国的に課題になっていると聞いております。  農業を取り巻く環境が非常に厳しい中、非常に重要な役割を担う農業基盤整備を効果的に進めるためにはどのような支援が考えられるのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  今国会に土地改良法の改正案が提出されておりまして、この中で土地改良事業団体連合会が市町等の業務や工事の発注をサポートできる仕組みが盛り込まれております。これが成立いたしますれば、積極的に活用いただきたいというふうに考えているところでございます。  また、直接的な人的な支援を求められるケースでは、具体の状況なども情報共有しながら個別に相談をさせていただく中で、どういったサポートができるか、一緒になって検討してまいりたいと思っております。  そのためにも事業化には地域の合意形成が大変重要でございまして、まずもってはそうした状況になるように、地域でしっかりまとまっていただき、そうした状況がつくれますよう、私どもも応援をしてまいりたいというふうに思っております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)農業土木従事者というのは、町は本当に職員も少ないわけであり、経験もされる方が本当に少ないわけであります。市におきましては、やはり職員もたくさんおられるということで、いろんな経験もされている市もあると思いますが、これからも町に対して助言等もしっかりとしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、2番本田秀樹議員の質問を終了いたします。  最後に、41番九里学議員の発言を許します。 ◆41番(九里学議員) (登壇、拍手)まず冒頭、この1か月間、親身の対応、治療をいただきました県職員の皆様方、医療、宿泊関係者の皆様方はじめ、御心配をおかけしました多くの皆様方にお礼を申し上げたいと思います。また、残念ながらコロナでお亡くなりになられた皆さん、治療中の皆様方にお悔やみとお見舞いを申し上げ、一日も早い御快方をお祈りを申し上げます。  それでは、知事、健康医療福祉部長に一問一答でお伺いします。  先月1月14日、私の連れ合いの陽性が判明をしました。翌15日、草津保健所から濃厚接触者の認定が私にあり、その晩、喉の痛みと倦怠感の初期症状がありました。16日に抗体検査、翌17日はPCR検査を受け、結果は陰性、その後、自宅療養し、23日からは起きられないほどの激しいせきと胸の痛み、38度を超える発熱が続き、26日には保健所にて、再度、PCR検査をし、陽性が判明しました。その晩からホテルルートイン草津栗東で療養生活のお世話になりました。その後、今月3日までの8日間、医療、宿泊関係者の手厚い看護のおかげさまで、一旦は喉の痛みやせき、発熱も治まり、退所となりました。自宅で、その後、安静にし、7日から業務をしていましたが、10日に再び激しいせきと胸の痛みに襲われ、レントゲンと血液検査で、結果的にコロナ後遺症の肺炎と診断をされ、今も投薬治療を余儀なくされています。味覚や臭覚もはっきりせず、コロナウイルスの恐ろしさを身をもって、この1か月、体感したと同時に、医療関係者や苦しまれる患者のいる現場とそれ以外の温度差に愕然としている今日この頃です。  まず、知事はコロナ患者に関わられている医療現場や保健所をいつどこへ見に行かれたか、お伺いをします。 ○議長(富田博明) 41番九里学議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)まずは、感染され、御療養をなさっているということですので、お見舞い申し上げたいと存じます。  私の現場への視察ということでございますが、令和3年度において、今年度ですね、医療機関につきましては昨年6月4日に大津市民病院、そして10月21日に高島市民病院を訪問しております。また、保健所につきましては昨年5月14日に甲賀保健所、今年2月5日に草津保健所を訪問しています。さらに、現地をお訪ねする以外にも、例えば保健所長や医療機関の皆様とウェブ会議システムを活用しながら意見交換を実施するなどの方法により、現場の皆様のお声を直接お伺いする機会を持つよう努めているところでございます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)最近は行かれてないということなんですが、受け手側の、こんな逼迫した状況ですんで、その辺も知事が来られたら大変やということもあるんですが、私も、自ら罹患する前後で、現場の御苦労と、患者のこれだけ苦しいんかという認識が大きく変わりました。一定、お忙しい中とは思いますが、現場に見に行くことの大切さを嫌というほど、自らが濃厚接触者の待機あるいは宿泊療養を体験し、強く感じました。  今もありました、要である保健所や医療機関の現状をつぶさに見、関係者のお声を真摯に聞いて政策に反映をするべきだというふうに思っています。  今議会の開会日に、知事は対話と共感で現場第一主義を貫くと表明をされました。今後も含めて、受け手側の状況もあると思うんですが、現場を見ることについて知事の所見をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 必要に応じて、できる限り現場も見る、もしくは現場のことを知る方と直接対話することで現場の状況を知りながら、その状況を施策等に反映できるように努めていきたいと思います。  どうしても知事そのものが動くと、ちょっと現場に御迷惑をかけるようなことなどもございますので、そういった状況はよく見ながら対応を検討してまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)よろしくお願いします。  それでは具体的な部分に、ここからは最後まで全て健康医療福祉部長にお願いをします。  専門家や国の情報の受入れだけでなく、医療現場の方々と情報交換をし、知見を得、相互理解することで課題や問題点も明確になると思います。現場で治療に当たっておられる医療従事者と感染動向等を研究をされている、先般もありました6名の県の専門チームとの情報交換は具体的にどのようにされているか、部長に聞きます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。  医療従事者と感染動向等研究専門チームとの直接の情報交換は行っていないところではございますけれども、医療機関から報告のある重症度分類の経過データなどを収集いたしまして、感染者数や入院者数の将来予測に利用しているところでございます。その将来予測につきましては、本部員会議等を通じまして医療機関に情報提供をしているところでございます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)直接はやられてないということなんですが、現場から遠いところではなくて、やっぱり近いところで、より丁寧に細かく行政の方と医療機関の方が連携すること、迅速にそういう情報交換をすることで健康観察や相談支援にも役立つと思います。  保健所では、積極的な疫学調査やクラスター発生場所の消毒、自宅療養者の健康観察など、業務が逼迫をしていると承知をしています。自宅療養となられた高齢者や独り暮らしの方、症状が悪化し、自分で電話さえできない人にとってはスマホでの、私もずっといろいろやらされましたが、病状経過観察や報告などは大変困難な状況です。本当に困っている患者やその家族に寄り添い、光を当てる施策こそ公助がすべきだと、当事者になり、改めて実感をしました。  感染者数の急増に人手が取られ、かかりつけ医と保健所が連携すること、入院の優先順位を症状や重症化リスクによって重点化すること、あるいは遠隔で患者の健康状態を把握できるシステムや、相談内容ごとに、これはうちの家族もみんな大変やったんですが、電話番号のフローチャートを作成することなど、全体像を見据えつつ、きめ細やかで即効性のある、患者ファーストで行うべき具体的な対策が遅れているんではないかなというふうに感じています。  その一つとして、コロナ陽性患者の情報について、本人や家族からの聞き取りだけではなく、地域のかかりつけ医のお医者さんからも情報提供を受けるなど、保健所と地域の医療機関における患者情報の共有も必要だと私は思いますが、どうでしょうか、部長に聞きます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  陽性となられた方のふだんの体調、それから基礎疾患などの重症化リスクにつきまして一番理解していただいているのはかかりつけ医というふうに思っております。  保健所におきましては、発生届等により、陽性となられた方の重症化リスク等を確認した上で健康観察を実施しているところではございますけれども、症状悪化時には、かかりつけ医との間で自宅療養者の情報を共有しながら適切な受診、治療につないでいるところではございます。  今後は、コロナの感染者情報を共有するシステム、HER-SYSというシステムがございますが、これの活用を進めますとともに、保健所とかかりつけ医の有効な情報共有の在り方について検討いたしまして、患者に寄り添った健康観察や治療につなげるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます、部長。国と県だけではなくて、県の中から医療関係者や患者とそういうHER-SYSを使っていただくという前向きな答弁でした。ありがとうございます。  第6波が収まりません。持病が悪化して亡くなっている人が全国的に急増しています。保健所と医療機関をダイレクトに結ぶ、今言うていただいた専用ホットラインなども、ぜひ、御検討いただきたいと思います。  また、感染急増し、重症化が懸念される子供や高齢者などのファクターごとに、組織的に関係部局で特命チームをつくり、施設ごとに検査基準、療養基準、待機基準、復帰基準をガイドラインに沿ってマニュアル化をしてはどうかと私は考えます。県組織内のファクター別特命チームの創設、対策の具現化について部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  学校や保育関連施設におきましては感染リスクが高いことや、高齢者施設等におきましては重症化リスクのある方が多数おられるといった施設ごとの特色がございます。これまでから感染症対策課と医療、福祉、保育の関係各課が連携いたしまして、感染対策マニュアルを活用した研修の実施や、感染拡大を防ぐためのイベントベースサーベイランス事業の活用促進など、感染対策に取り組んできたところでございます。  今回の第6波を受けまして、高齢者施設や障害者施設での施設内療養に対応するため、感染管理支援や搬送調整等を行う支援チームを関係各課で組織したところでございます。  こうした取組によりまして、感染が拡大している施設に対し丁寧に個別支援を行うことで、コントロールセンター、医療機関との緊密な連携の下、早期の感染収束やさらなる感染拡大防止に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます。  各課部局とも、応援体制も含めて大変な状況なのは十分承知をしております。ただ、これだけ施設とか機関ごとにいろいろ状況が変わってきますと、行政サイドとしても、そうした負荷を抑えるためにも重点化というものがキーワードになってくると思いますので、よろしくお願いをしたいなというふうに思います。  私の宿泊療養先では8時と14時と夜の8時に3回、看護師さんが丁寧に体調確認をくださり、精神的にも非常に安定をしました。  リスクコミュニケーションは、公衆衛生対策上、大変重要です。時々置かれている病状によって危機管理意識や捉え方が異なります。その解消のためにも、患者さんと保健所、医療機関との意見交換を頻繁にすることで相互理解も促進でき、問題点も浮き彫りになります。リスクを共有し、分かち合い、信頼関係を継続して構築するのは、公衆衛生を考える上で非常に肝要だなと身をもって痛感をしました。  今後に備えたリスクコミュニケーションの具体的手法について部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  リスクコミュニケーションにつきましては、自宅療養をされておられる方の健康観察について特に重要と考えております。保健所の業務が逼迫する中で、訪問看護ステーションへの委託や、会計年度任用職員としてサポートナースを保健所に配置するなど、看護師による丁寧な病状の把握と適切なアドバイスに努めてきたところでございます。  第6波の感染急拡大の中で、各保健所におきまして自宅療養者支援のための職員の増員を図ったところではございますが、健康観察の遅れなど、自宅療養者の方に御不安を与えることになってしまいました。現在、自宅療養者の方に対しましては看護師による夜間の電話相談窓口を設けているところではございますが、日中における保健所との連絡がつかないときの対応などについても検討し、自宅療養者の方が安心して療養できるよう、リスクコミュニケーションをしっかりと図れる体制整備に努めてまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)様々工夫を凝らしていただき、ありがとうございます。大変重要なリスクコミュニケーションの問題ですんで、ぜひ、これからも大変お忙しいとは思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  私の場合、当初、陰性の結果がまず出ました。後になって症状が出てきたため、再検査を受けさせていただいた結果、陽性となりました。そのとき、自分がデルタ株かオミクロン株か、お問合せをさせていただいてもなかなか保健所からは伝達はありませんでした。その後、私がレントゲンや血液検査で肺炎になっていることが分かったんですが、当初から株の状況等まで分かれば治療方法等にも役立つというふうに思うんですが、なぜ陽性者のときに株名を告知されないのか、教えてください。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  ウイルスの株を特定するためのゲノム解析でございますが、国から変異株検査の要請に基づきまして、全陽性者の5%から10%程度を目安に行っているものでございます。県内の変異株による感染動向を把握することを目的に実施するものでございますことから、御本人への結果通知を行うものとされていないところでございます。  なお、国からの通知に基づきまして、本県におきましては1月14日時点でオミクロン株への置き換わりが70%以上になったことを受けまして、新型コロナウイルス感染症の陽性者を原則としてオミクロン株患者であるものとして取り扱い、対応しているところでございます。  また、治療につきましてはデルタ株とオミクロン株で大きな差はないところでございます。今後もゲノム解析を行いまして、変異株の発生動向の監視に努めてまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)1月14日現在で70%置き換わっているということなんですが、絶対数で、一定、そういう形になるのは分かるんですが、患者目線というか、陽性になった部分からすれば、その後の部分も含めたら、これも一考のことがあるかなということも思いますんで、ぜひ、その辺も含めて国と連携をし、調整をお願いしたいなというふうに思います。  私自身、罹患をし、一番疑問に感じたことがあります。それは重症度分類、いわゆる感染者の症状と受診の目安の分類です。原因は肺炎の有無が前提にあり、肺に入りにくく、肺炎を起こしにくいオミクロン株では入院基準が病状と乖離していると感じました。中等症Ⅱでも4日で退院となれば、デルタ株が残っていたり新たな変異株が出てくれば、よりリスクが高まります。コロナ分類では、重症は集中治療室もしくは人工呼吸器が必要とされ、これは普通なら救命措置すべき状態です。中等症Ⅰは酸素飽和度が93%から96%で呼吸困難や肺炎の所見があること、中等症Ⅱに至っては酸素飽和度が93%以下で酸素投与が必要とかなり逼迫した状態でありますが、軽症は、酸素飽和度が96%以上あっても、呼吸器の症状なしから、せきのみで呼吸困難がなく、いずれも肺炎所見が見られなければ、幾ら喉や胸が痛くても、また食事もできず苦しくても、発熱や下痢、せきが連日続いても全て軽症枠に分類をされます。  私の場合、宿泊療養中、酸素飽和度が94%から97%でした。退所1週間後、改めてレントゲンでコロナ後遺症肺炎だったことが分かりました。軽症が、報道や世間の認識では無症状に近い認識で非常に甘く見られているんではないかなというふうに感じます。私のように当事者になって初めて軽症の幅が広過ぎることを知り、「せきや高熱、喉や胸の痛みが続き、食事も取れず、点滴で栄養補給し、これで軽症なのか」と訴えるコロナ患者のお声をたくさん聞き、また、直接お聞きをしました。医療従事者の方々からも、「基礎疾患のある患者やふだんから診療している患者は症状により往診もできるが、保健所から軽症枠に入れられた初診患者の重症度は判別しにくく、非常に危険だ」といったお声を多数いただいています。  一般的な軽症の認識が行政と医療関係者や患者の間で大きな幅、ずれがあり、軽症でも症状に個人差があり、中等症や重症に近い症状もあることを共通理解しないと、軽症と判別された高齢者や自宅療養中の独り暮らしの方や持病のある方が苦しみながらそのまま亡くなっていく、軽症のまま亡くなるということも当然ではないかなと改めて感じています。もっと現場診療や救急隊のバイタルサインなど、患者ごとの判断を重視をすべきだと考えます。  そこで、今は軽症を主に言いましたが、重症度分類、とりわけ軽症の扱いについて、対策を含め、部長の所見を伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  第1波におきまして、新型コロナウイルス感染症の死因として呼吸不全が多くありましたことから、呼吸器症状と血中酸素濃度を中心に分類した重症度分類が作成されまして、以降、全国的な運用がなされているところでございます。  この分類は、第6波の患者像を正確に反映したものではないことは承知しておりますが、高齢者を中心に、コロナウイルスによる肺炎が見られなくても基礎疾患が増悪することや、誤嚥性肺炎の発症により重症化する患者が増加している現状を踏まえまして、患者対応に当たる必要性を認識しているところでございます。  県といたしましては、この分類にのっとった重症者数などの情報提供は引き続き行いつつも、陽性判明時におきましては、コントロールセンターにおきまして、医師、看護師が具体的な呼吸器症状に加えまして重症化リスクの有無等についても聞き取りを行い、分類上の軽症にとらわれず、入院対象として調整するなど、お一人お一人の患者様に寄り添った柔軟な対応を心がけてまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)非常にありがとうございます。分類にとらわれないと。一人一人の患者とフェース・ツー・フェースで診ていくと。また、今後のことも含めて非常に柔軟な対応をするということで、ありがとうございます。  私は肺炎を今まで言いましたが、5分類というものに収まらない別のフレームの、やっぱりこの感染症についてはこれからまた新たな株も出てくると思いますんで、ぜひ、そういうことも国に求めながら検討の一考をお願いしたいなというふうに思います。  東京医科歯科大学の最近の研究によりますと、国内のオミクロン株も以前のBA.1ではなく、北米系統のBA.1.1や、いわゆるステルスオミクロン、BA.2が主流化し、中等症Ⅱへ病状進行しやすい傾向にあるとされ、ワクチンを2回接種し、基礎疾患のない若い方でも変異オミクロン株国内流入で肺炎になり得るとされています。  重症度分類は入院基準にも大きく影響しますが、入院を中等症以上に絞り込むことで病床使用率は下がります。医療現場の医師からは、「重症や中等症であるはずの軽症患者が画一的にホテルや自宅療養に追い込まれることになりはしないかと心配だ」というお声や、「入院への優先順位は一人一人の患者の症状と日々向き合っておられる医師のトリアージ判断を最重視すべきだ」といったお声も聞きました。  医療従事者によるトリアージ判断を重視することについて部長に見解をとります。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  現在運用しております臨時的な入院基準でございますが、第6波の特徴を踏まえまして、病床逼迫時におきましても療養者が症状に応じて必要な医療的ケアを受けるためのものでございまして、受入れ病院におきまして治療に当たっている医師の方々の意見を踏まえて作成したものでございます。  この基準に基づきまして、コントロールセンターにおいて陽性患者の療養先の調整を行うのは臨床経験のあります医師、看護師でございまして、発熱や摂食状況のほか、基礎疾患やBMIなどの重症化リスクの有無等につきましても聞き取りを行った上で判断しているところでございます。また、自宅療養者の症状悪化時には、保健所とコントロールセンターが情報共有を図りまして、速やかに医療機関につなげる体制を整備しているところでございます。  今後もこうした医学的見地からの判断を重視し、引き続き、症状に応じて安心して療養できるよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)いい答弁なんですが、現実的には、やっぱりこれだけ不連続性で株がいろいろ変わってくる、また、様々な症状、先ほどの分類もそうですが、複雑多岐にわたる状況になっています。ぜひ、先に先に、各患者に直視した対応をお願いしたいですし、組織として、やっぱりそうした不連続性にも対応できるような強化をお願いしたいなというふうに思います。  今年に入り、何でこんなことをるる言うかというと、非常に死者が増えています。1月が本県で2人だったのが、2月、まだ今日が21日ですんで、3分の2過ぎたとこなんですが、18名の方が既にお亡くなりになっています。1月と比べたら9倍。これからまだあと1週間ありますので、どうなるかなということもありますし、重症者の方も、これは微増ということなんですが、3人が5人になっています。
     非常に問題視されています医療提供体制の逼迫、病床使用率の急速な増加等が非常に心配しています。政府は水際対策を緩和しようとしています。私は、今の段階では、先ほど様々申し上げた新たな株が入ってきている中で、非常にこの水際対策に、一定、違和感も持ちます。まん延防止等重点措置の国への適用要請を見送り、独自調査で、2月上旬以降、新規感染者数がピークアウトすると滋賀県ではされましたが、科学的な根拠がどうあるのか、教えてください。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  今後の新規報告者数の推移についてでございますが、感染状況に応じた人数やウイルスの持つ感染力、ワクチン接種率とその効果、さらには政策介入による抑止効果等、多岐にわたる前提条件を使用して、県独自の感染症数理モデルにより推計しているところでございます。  2月7日の本部員会議でお示しした推計でございますが、1月下旬の感染予防対策が継続すると仮定いたしまして推計しているものでございますが、仮定した抑止効果が得られなければ推計値以上の感染者数となりまして、ピークがずれますとともに、より緩やかな減少となるものと考えております。また、予測は平均的な推移を表すものでございまして、この値を超えないという意味のものでもございません。現状におきましては、感染者の増加速度は鈍化しているものの高止まりしているところというふうに考えております。 ◆41番(九里学議員) (登壇)今の部長の答弁やと2月上旬のピークアウトは様々な理由でもっと鈍化したり遅れたりということもあるんだよということをおっしゃいますが、やっぱり県民目線からすると、非常にこの数値設定の精度、科学的データをきっちり集積し、検査数やワクチン接種、これから進むと思いますが、そうした状況など、中長期的な推定をガイドライン化し、県民に見える化することが大事だというふうに思います。  コロナ対応と社会経済文化活動を両立されると言われるんであれば、ガイドラインに沿った行動内容をマニュアル化し、県民さんに分かりやすく見える化をしないと、これだけ長い期間、先の見えないトンネルでの生活を強いられ、繰り返される雲をつかむような説明だけではもう納得をされないんではないだろうかというふうに改めて感じています。  新たに2月7日の本部員会議で感染症対策、事業者支援など御提言をされましたが、それらの具体的な対策について部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  2月7日の新型コロナウイルス感染症対策本部員会議におきましては、県民の皆様に、改めて基本的な感染対策の徹底とマスク会食や前向きなワクチン接種の検討などを要請するとともに、学校や高齢者福祉施設等におきましてクラスターが多発しておりますことから、これらの施設における感染対策の徹底を要請しているところでございます。  また、事業者支援として、感染拡大の影響を受けて売上げが減少した事業者に対する国の事業復活支援金への上乗せ給付、家庭内での感染回避のための宿泊施設利用に対する支援、商品の仕入れや代金決済等に要する運転資金や補助金等が交付されるまでのつなぎ資金への支援を行うこととしたところでございます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)国のほうがBCP、いわゆる事業継続計画の取りまとめ等を指示等、始めていますが、やっぱりこういうことも含めて経済活動等を動かすということであれば、公表をし、いち早く取りまとめを始めていただければなというふうに思います。  私は、次に備え、今、キーワードは重点化だと申し上げましたが、3点だというふうに考えています。  1つは、るるこの議場でも話がありましたが、高い陽性確率のPCR検査の拡充をすべきということです。これだけ感染拡大し、誰が感染者か経路が分からない状況の中では、抗原定性検査だけではなく、Ct値とトリアージの確実性が高いPCR検査をもっと推し進めるべきだというふうに思います。  2点目は、徹底した隔離療養施設と確実な物資の確保です。今議会で、自主的に県民自らが感染回避できるよう宿泊費用の予算化をくださいましたが、重症化リスクの高い高齢者避難をはじめ、患者を徹底して感染療養できる場所の確保と同時に、ワクチンや、これから出るであろう治療薬をはじめとした、去年はマスクの話もありました、長いスパンでの物資の確実な備蓄確保が大事だというふうに思っています。  そして、3点目は、県ですので、科学的データに基づいた患者ファーストの立場での法整備と検証を国に求めていただくことです。誰とどれぐらい接触したのか、医療機関でも分からず、患者判断に委ねざるを得ない、個人情報保護法とこのコロナは指定感染症という両面からのあつれきもあり、ワクチンのメリット、デメリット、様々言われる方もあります。先述した5つの分類法や感染症法の措置の運用等、遅れた法整備改善や科学的視点での検証を、県の立場から国に強く求めるべきだと考えます。ぜひ、よろしくお願いしたいというふうに思います。  最後に、ワクチン接種について部長にお伺いします。  高齢者施設のクラスター拡大や高齢者の重症化、子供のワクチン接種が課題となり、教育現場や子育て家庭、とりわけ今は未就学児の感染拡大がエアポケット状態になり、妊婦感染も中等症や重症になられる率が一般の方の2倍高いとされる中、感染現場は学校や保育園、高齢者施設に移り、まずはこうした施設でワクチン接種を進めるべきだと考えます。ワクチン接種を加速するための具体的な手法について部長にお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、高齢者施設や学校、保育園で多数のクラスターが発生しておりまして、市町におきまして、それらの施設の従事者等に対しましてワクチンの追加接種が進められているところでございます。  県におきましても、市町接種の加速化の支援を行う観点から、診療所等におきまして一定回数以上の接種を行った場合に協力金を支給するとともに、広域ワクチン接種センターにおきまして、一般の方に加えまして、地域における社会機能を維持するために教職員や福祉施設職員などを対象に優先枠を設定いたしまして、予約の受付を開始したところでございます。  また、県民の接種希望がモデルナ社製ではなくファイザー社製ワクチンに偏っておりまして、市町の予約枠に一部空きが生じていることから、2月よりテレビCM、交通機関へのつり広告、新聞折り込みチラシ等の様々な広告媒体を活用いたしまして、交互接種の啓発に努めているところでございます。さらに、県民の皆様に御理解いただけるよう、国に対しましても、政府広報等によりまして積極的な情報発信を行うよう働きかけまして、追加接種の加速化を実現してまいりたいと存じます。 ◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます。工夫を凝らしていただいているのは重々承知をしております。協力金や、あるいはOh!Meですか、ああいうところでも大規模接種をつくっていただきました。なかなか職場接種は進まないという状況の中ですが、先ほども部長の答弁にありました交互接種ということをやっぱり非常に心配されている方もありますんで、有効性とか安全性をもっともっとPRして加速化していくことも大事だと思いますし、今後、新たに出てくるであろう治療薬の提供体制、そうしたものも含めて、分かりやすく県民の皆様方に情報を提供してもらいたいなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。  人間は体験したことを信じます。この1か月の、私自身、経験則を通じ、非常時こそはっきりとした考えと進むべき道、方針を県民の代表であるこの議場の皆様方が示さなければならないことを改めて心に刻みました。行政の皆様方は、大変、保健所をはじめとしてお忙しい中、御労苦をいただいていますが、我々議会人も含めて、同じ志を持ってこの未曽有の感染症に立ち向かうため、力を合わせ、よりよき方向に導かなければならないなと改めて強く感じました。そのことを最後に申し上げ、早くこの感染症が収まることを願い、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、41番九里学議員の質問を終了いたします。  以上で本日の一般質問を終わります。  明22日は、定刻より本会議を開き、一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時 散会    ────────────────...